ちょっと変わった異世界ファンタジー
とある中央アジアの新興国。小国ながら大国から武力で勝ち取ったこの国の大統領がアレクサンドル・プルチノフである。
この大統領は乗りこなす行為が大好きで乗れるものは大体乗ってしまい、生き物から兵器、国家までも乗りこなしてしまった。
なので、この大統領の騎乗欲が満たされず、忙しい日々を送っている。
そんなある日、いつもの日課で愛虎にまたがって街を歩いていると大型トラックが来襲。
あわや大統領はトラックに引かれて異世界に行くのかと思いきや、余裕の表情で一本背負い。トラックを。
全くうろたえる様子もない大統領の頭上から大統領の像が落ちて、めでたく異世界に転生を果たす。
小さな祠の中で目を覚ました大統領が暗い部屋からでてくると目の前には見慣れない世界。そして、大きな翼と鱗を持つ巨大な爬虫類の姿が炎を吐いていた。
飛竜、またはワイバーンとも言うその生き物は大統領に炎のブレスを向けた。
やっぱり、動じる様子もない大統領はその大柄な肉体から予想もつかないほどの跳躍を見せ、ワイバーンに見事な飛び蹴りを決める。
中に人間がいるのだろうと詰めるよる大統領は尻尾を掴むとドラゴンスクリュー。
再び飛び上がったワイバーンに流石に不思議に思った大統領。掴みかかって首筋にまたがるとこれが本物だとようやく理解した。
空を飛ぶワイバーンに初めてまたがった大統領に至福の瞬間が訪れた。
ヤングマガジンに空手小公子小日向海流を連載していた馬場康誌の画力が異世界ものでも、別格の上手さが際立つ。
この人の描く筋肉と肉体は重さと脈動するようにしなやかに美しい。
大まかにこの作品は俺ツエーの部類なのだけれど、現世から破格の強さを持っているというコンプレックス皆無の純度の高いエンタメ。
プロレスや格闘技を知っておくと、細かいネタがツボに入るのがたまらない。
ドラゴンにドラゴンスクリューって、考えそうで見たことなかったな…。
まだまだ始まったばかりだけれど、ゆく先々で人身を掴んで世直しの旅から国家を創立するような貴種流離譚になりそう。
設定も結構作り込んでいるので、この先が楽しみな作品。他を比べるのもなんだけど、三大出版社の連載作家はやっぱりうまいわ。