養鶏場のおっかない話。
ニコ生を見ていたら、この話の朗読をしていたので、原典を探してみました。
この人は、夏休みに母親と姉と弟でおじいちゃんが住んでいる実家に帰省。
おじいちゃんは養鶏所を営んでおり、いつも夜の12時前に一人で孵化室に行くところを見てしまう。何をしているのかと思ったら、光を当てて生まれる寸前の卵を見つけては顔を背けてブリキの箱に投げ捨てていた。
あまりのことにびっくりしたので思わず声をかけてしまったら、おじいちゃんは驚きつつも「悪いものをとっているんだ」と教えてもらう。
投げ捨てたブリキのゴミ箱を覗こうとすると「覗いちゃいかん!」と止められる。12時を回ったところでおじいちゃんと一緒に孵化室をあとにした。
次の日になって、弟と遊んで早めの昼食をとっているふと違和感に気づく。
今までおじいちゃんと一緒に昼食をとった記憶がなかった。
おじいちゃんは11:30頃に必ずいなくなって、昼食時には一緒に食べることがなかった。しかし、今日にかぎって村の寄り合いから帰ってきて、ベロベロに酔っ払っており、軽い昼食を食べながらまもなく眠ってしまった。
起こしちゃいけないと思って弟と外に遊びに行くと孵化室におもちゃっぽいものがあったと思いだして、弟を連れて孵化室に。
孵化室にあったおもちゃっぽいものを見つけるとそれはおもちゃじゃなくて、朱色の手鏡、小さな牛のような像、プラスチックのような造花。
弟は孵化器の中を覗いてみると一匹生まれていると声を上げる。
自分も見ようと思って、孵化器の扉を開けると、そこにいた雛は、
普通の雛と違って、震えることもなく、さえずることもなく、その目は人間のような目をしていた。
金縛りにあったようにその場で動けなくなってしまい、その雛がズルリと棚から落ちると首を前後することもなくスタスタと外に出てしまった。
見えなくなると弟のことを思い出して、振り返ると弟はよだれを流して目を見開き上の空のように、呼びかけても反応をしなくなってしまう。
弟の名前を大声で呼んでいるところでおじいちゃんとおばあちゃんがやってきて、「見たのか!」と。
おじいちゃんは雛が出ていった方向へ飛び出していくとおばあちゃんが弟を介抱していて、手鏡を持ってきてくれと頼まれる。おばあちゃんはお母さんのところに行きなさいと促され、一人で孵化室を後に。
その後、おばあちゃんは弟と一緒に帰ってくるけれど、何かが違う。
姿形もおなじで記憶もあるのだけれど、今までの弟と何かが違っていた。
やがておじいちゃんも帰ってきて、間に合わなかったと。2,3日中に誰かが亡くなるだろうから、喪服を風に通してくれと。
あとからおじいちゃんが教えてくれたのは、
お天道様が一番高い刻と夜が深い刻に生まれた鶏はお役目を持っているという、なので殺さなくてはいけないのだ、と。夜に生まれるのはもっと恐ろしいと。
この話を高校生になって、養鶏所を営んでいる同級生にしてみると「それはいわし鶏だな」とのこと。今はオートメーションで12時と24時に孵化しそうな卵は処分しているのだとか。
結局弟ってどうなったんだろうって、ちょっと気になってしまったので検索をかけてみたら、
鶏卵は安全にどこでも安価で手に入る優秀な食材ですが、数ある養鶏所でみんなこれをしているのかと思うと結構ホラーだよね。
このオートメーションがある日一斉に壊れていたら、謎の大量殺人事件が起きてしまうわけで。
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