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夫婦には誰もが直面する"課題"がある〜家族ライフサイクルという考え方〜
家族で生活している中で、試練やトラブルが起こります。
夫婦でそれらを乗り越えることで、絆が深まり、家族として成長することができます。
一方で、それがうまく対処できないことで、夫婦関係が悪化したり、家族のだれかの問題行動につながることがあります。
家族でどのような試練やトラブルがあるのか、事前に分かっていると、準備や対処もできる可能性が高まります。
それに役立つのが、以下の「家族ライフサイクル」という考えです。
家族ライフサイクルでは、以下のようなことが言われています。
・各ライフステージに、平均的な家族に起こりがちな課題(発達課題)がある。
・ステージ移行期は家族関係が不安定になりやすい。
・課題をクリアし、不安定期を乗り越えることで、家族が発達する。
ライフサイクルを知ることで、「家族」がおおよそどのような道のりを歩むのかをイメージできるようにします。
あなたの家族がどのようなステージにあるのか、それに伴う課題としてどんなものがあるのか、ぜひチェックしながらみてください。
1、独立期(親元を離れて自立を始めるステージ)
既に実家から離れつつあるものの、まだ自分自身の新たな家族をつくっていない家庭を持つ土台作りの段階です。
この時期の主な発達課題は以下です。
職業を選択して経済的に自立する
友人や恋人たちと親密な人間関係を築く
親や実家から心理的に自立する(依存から対等な関係へ)
人生観や仕事観の確立
3点目は、家族心理学では、専門用語で「自己分化」といいます。
自己分化については、以下の記事も参考にしてください。
2、新婚期(夫婦が新たな生活を築くステージ)
異なる家族環境、文化で育った二人が、新しい生活を築く段階です。
この時期の主な発達課題は以下です。
夫婦関係の確立(価値観・役割分担のすり合わせ)
家庭生活と友人関係、仕事とのバランス
経済基盤の強化
夫婦関係と実家との絆のバランス(嫁姑問題など)
将来のライフプランの設計(子どもを持つか、住まいをどこにするか)
新婚期は一般的に幸わせなイメージが強いですが、厚生労働省の調査によると、結婚5年未満の離婚率が最も高いという結果が出ています。
夫婦が共に暮らし始めることで、お互いの価値観の違いに日々直面して、葛藤に直面することになります。
また、夫と妻という役割ができ、実家との関係性が変わります。
実家の親と、夫婦どちらか、もしくは一方が、べったり密着してしまうことは、変化に適応できているとはいえず、夫婦関係に影響を及ぼすことがあります。
実家との適切な境界を引くことが重要となります。
3、乳幼児を育てる時期(出生から小学校入学までのステージ)
子どもが生まれ、親としての役割ができる時期です。
この時期の主な発達課題は以下です。
親の役割を身に付ける
子育てをしながら夫婦の絆を保つ
祖父母や親族との関係を調整する
夫婦が「夫」と「妻」役割に加えて、「親役割」を担うようになります。
新しい家族の誕生は大変喜ばしいことですが、家族のカタチが変化し関係性も変化してくるため、ある種のストレスがかかるところです。
家事と育児をどう二人で分担するのか、仕事と家庭をどうバランスとるのか、子育ての方針をどうとるのか、意見の違いから、夫婦間で対立や衝突が繰り返されることになります。
また、祖父母が夫婦に対して、適切なサポートをすることもあれば、過剰に関わり、それが家族におけるストレスになることもあります。
4、学童期の子どもを育てる時期(子どもが小学校に通うステージ)
子どもが小学校に入学して通学する時期です。
乳幼児の時期と違う点は、学校の先生や地域の人などとの関係ができることです。
子どもの教育観の違いで夫婦の間に対立が生まれやすい時期でもあります。
この時期の主な発達課題は以下です。
子どもの教育方針の選択(学校、習い事、しつけなど)
子どもの発達課題(学習、友人関係)への対応
親としての役割の変化(保護から自立を促す方向へ)
子どもが小学校に入ると人間関係が外に開かれていくことになります。
親は子どもを信じつつ、子どもの危機サインを受け取り柔軟に対応していくことが求められます。
また、子どもと親密な関係を維持しながらも、夫婦の絆を維持し、子どもとの間に世代間境界を引くことも必要となります。
5、思春期・青年期の子どもを育てる時期(子どもが中学、高校に通うステージ)
子どもは、第二次性徴や他人の目に敏感になったり、進路選択を迫られたり、自分らしさとは何か?など、アイデンティティの確立に取り組む時期です。
中高年になった親は、肉体的に衰えを感じたり、仕事でも重責を担い、自分のキャリアの限界に直面したりします。
それまで問題が起こらなかった家庭でも、子どもの問題や親子の衝突が起こりやすくなります。この時期の主な発達課題は以下です。
子どもの進学伴う経済的負担
子どもの自立したい欲求と依存したい欲求にバランスよく応える
子どもへの問題への夫の関与や、夫婦が協力して補い合う
夫婦の将来を考え始める
親は子どもが大人になりつつあることを認め、子供の自立の試みを支えていかなければいけない面と、まだまだ幼い部分があるために、傷つきや不安を受け止め、依存できる場を保証してやらなければいけない面があり、親として柔軟に関わるといった高い課題を突きつけられます。
6、子どもの巣立ちの時期(子どもが家を出るステージ)
子どもは進学や就職、結婚により巣立ちをしなければならず、親からすると子離れしなければないことを意味します。
親は、特に母親は喪失感や悲しみを経験します。
家庭は親子関係中心から夫婦関係中心に変わります。
この時期の主な発達課題は以下です。
子どもの自立を見守る
子どもの自立に伴う喪失感を癒やし、受け入れる
子どもとの適切な距離感を保つ
夫婦関係を再編成する
親の介護問題への対応
老後への準備(健康、資産、キャリア)
スムーズに子離れできない場合、子どもへの過干渉、子ども夫婦の葛藤などの問題が起こり得ます。
また、この時期の熟年離婚が増えます。
7、老年期の時期(様々な分かれを味わうステージ)
仕事を引退し、自身やパートナーの老化、家族や親しい人の死別など、さまざまな喪失体験を受け入れなければならない時期です。
この時期の主な発達課題は以下の通りです。
健康問題の管理(病気、身体的衰え)
夫婦関係の新たな形(夫婦で過ごす時間の増加)
セカンドライフの充実(趣味、コミュニティ活動)
経済委的安定(年金、貯蓄、資産管理)
パートナーの介護や死に対処する
孫や子どもとの関係(どこまで支援するか)
自分の死への準備をはじめる
さて、あなた夫婦は、どのサイクルにいますか。
そして、書かれている課題に当てはまるものは、ありますか?
結婚が、2人の旅とするならば、「家族ライフサイクル」という考え方は「難所を示す地図」だとイメージすると分かり易いかもしれません。
当然、多くの夫婦が同じ人生をたどることはありませんが、多くの夫婦がどの箇所でつまずきやすいのか、立ち上がれなくなる箇所があると知っておくことは価値があると思います。
実際に、カウンセリングでもそれぞれのクライアントのステージに合わせた課題を参考にしながら、僕らカウンセラーはクライアントの方に関わります。
自分たちだけの問題ではなく、他のどの夫婦にも向き合う課題だと思うと安心するし、事前に知っておくことで、心構えができます。
重要なことは、「難所」を避けるのではなく、2人で乗り越えて、絆を深めていくことが大事なのです。
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