「自己愛性パーソナリティ障害」の対処法
前回の記事で、自己愛性パーソナリティー障害のことを書きました。
自己愛性パーソナリティ障害とは、自分に対して誇大な自己像を抱き、注目や称賛を求める一方で、他者からのマイナスな評価に対して過敏に傷つきやすく、他者に対する共感性が薄いことを特徴とする障害です。
家庭では、以下のような言動・行動に表れます。
・家族など身近な人を自分の思いどおりにコントロールしようとしてしまう
・家族など身近な人が、自分の思いどおりにならないとき、冷静さを失って反応的になりやすい(=思いどおりにならないことへの耐性が低い)
・家族など身近な人との間に、「双方が幸せで満たされた関係」を築くのが難しい(相手に我慢させるか、もしくは自分が我慢するか、あるいはその両方かになりやすい)
パワハラ、モラハラなどの、ドメスティックバイオレンスのほか、引きこもり、うつ、摂食障害を引き起こす要因となります。
自己愛性パーソナリティー障害の原因
自己愛性パーソナリティ障害の原因を「これだ」とはっきり断定することは難しいといわれていますが、生まれつきもっている気質と育ってきた環境に要因があるといわれています。
環境要因については、様々な考え方がありますが、ここではハインツ・コフートの説をご紹介します。
コフートは例えば、幼少期の子どもの「お母さん(お父さん)見て!」という承認欲求に対して、親が肯定的に応えて「共感」の態度をとることは、自己愛の形成に大きな影響を与えているといいます。
幼い子どもはみな誇大な自己イメージ、万能感を持っていて、なんでもできる気になっています。
そして親に褒められたいと思うようになり、顕示し承認されることで自己愛を育みます。
成長に伴ってその理想像が変化し、親から褒められることがそれほど重要なことと思えなくなっていきます。
それがまさに自己愛の成熟の過程の一部です。
しかし親が子どもへの「共感」の態度を示さないと、自己愛の傷つきが生じます。
これが、自己愛性パーソナリティー障害に至る要因と言われています。
自己愛性パーソナリティ障害への対応
その答えは自己受容にあります。
自己受容とは、ありのままの自分、あるがままの自分を受け入れることです。
では、どうすれば自己受容できるかというと、自分の感じている感情を受け容れることが重要なのです。
自己愛性パーソナリティー障害の方は、自己愛の傷つきによるつらさ、悲しみ、劣等感や不安お受け容れることができず、誇大な自己イメージ、万能感によって、自分の感情をごまかしているのです。
そうではなく、そういう感情を悪い感情だと考え邪魔者にするのではなく、ありのままに自分の感情を受け入れるのです。
劣等感を感じてる時は、「いま自分は劣等感を感じてるんだ」と受け入れて、その劣等感を味わってみる。
がっかりしている時や残念な気持ちを感じてる時は、「いま自分はがっかりしてるんだ、残念な気持ちを感じているんだ」と受け入れて、そのがっかりや残念な気持ちを感じてみる。
自分の心の中に悲しみが湧いてきてる時は、その悲しみをありのままに受け入れて悲しみと共にいる。
このように、自分が感じてること自分の感情をありのままに受け入れることを、自己受容と言います。
このトレーニングを積み重ねていくと、本当の意味での地に足着いた自信が高まるとともに、自分のありのままの感情と共にいる力が高まってきます。
そしてそうなると万能感によって本来の自分の感情をごまかす必要がなくなってくるんです。
もちろん、このプロセスは、1回や2回ではなく繰り返し繰り返し行っていくことが必要となります。
=========================
今後も、夫婦関係の悩みを軽くして、関係改善につなが心理学の話しを定期的にお届けしていきます。
確実にチェックしたいという方は、ぜひフォローしてください。
また「いいね」ボタンを押して頂けると、書き続ける励みになります。