【本棚】#2 未必のマクベス
本棚2冊目 小説です
未必のマクベス
早瀬耕
全然知らなかったけど未必とは
必ずしもそうなるものではない
という意味。
もっぱら「未必の故意」という一括りで使われるとのこと。
未必の故意とは刑法用語で
意図的に実現を図るものではないが、実現されたらされたで構わないとする心情
何か仕掛けといて実現されたらされたでいいし、されなかったらそれはそれ、みたいな意味らしい。
…コナンくんに出てきそうだな、勉強になった。
さて、国語の勉強ははさておき、この本についてだが、特に早瀬さんを知っていた訳でもなければ、前評判を聞いてた訳でもない。
じゃあ何で買ったか
帯とあらすじ
あんまり買う本を決める時に帯で決めることはないんだが、この本は帯で買ったと言っても、いや、帯によって買ったと言っても過言ではない、かもしれない。
書いたのは文芸評論家の北上次郎 さん
この小説の魅力を語るのは難しい。経済小説であり、犯罪小説であり、ハードボイルド小説であり、恋愛小説でもあるのだが、そういうジャンルに押し込もうとすると魅力がどんどんこぼれていく気がするからだ。
(中略)
だから、こう言い換える。高校時代にちょっと気になる女の子がいて、特に何があったわけではないのだが、それからも折に触れて彼女を思い出す----そういう経験のある中年男性に本書をすすめたい。あるいは企業の第一線で仕事をしながらも、特に将来を考えず、恋人がいても結婚を夢見ず、そして友人のいない中年男性に本書をすすめたい(以下略)
自分が中年男性なのか(違う)、高校時代の誰かを折に触れて思い出しているのか(ちょっと違う)、企業の第一線で働いているのか(多分違う)、特に将来を考えてないのか(割とそう)
その辺はさておき、この時点で中身に興味が湧いた。
どんな話なのか、昔を思い出す話なのか、先を考えられない男の話なのか、そんなことを想像した。とりあえず考えさせられる系か、と思った。
のだが、
あらすじを読んでびっくりした
IT企業Jプロトコルの中井優一は、東南アジアを中心に交通系ICカードの販売に携わっていた。同僚の伴浩輔とともにバンコクでの商談を成功させた優一は、企画の途上、マカオの娼婦から予言めいた言葉を告げられる----「あなたは、王としての旅を続けなくてはならない」。やがて香港の子会社の代表取締役として出向を命じられた優一だったが、そこには底知れぬ陥穽が待ち受けていた。異色の犯罪小説にして、痛切なる恋愛小説
ハードボイルドと恋愛どこ行った
ここまであらすじと帯がリンクしなかった本は初めて。
帯付け間違えたのかと思った。
多分帯だけでは買わなかっただろう。
あらすじだけなら絶対買わない。
が、この2つがあるせいで手放すわけにもいかなくなったので
「帯とあらすじのどっちが正しいのか」
という、自分史上最も謎な理由でこの本を買ったわけです。
で、買ってどうだったか。
この本は帯が正しい
間違いない。あらすじはもちろん正しいのだが笑
ちょっと文庫にしては分厚く、話もわかりやすい方ではないので、格別読みやすい本ではないが、もし帯の内容に興味を持った、もしくは当てはまる中年の方、是非ご一読を。
…ほぼ帯の話しかしてないな
…関係各所に怒られたりしないかな、これ
オワリ
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