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【本棚】#11 ユージニア

明け方の若者たちとは別の人だが、これも友人から薦められて読んだ本

1に難解、2に長い、3に面白い
そんな本でした。読書慣れしてないときついかも。

実は恩田さんの本はあんまり読んだことなかったけど、レビューとかを読む限りこのテイストは多いのかしら


というかこの本を教えてくれたあの子はこんな本を読むのね
好きな本(嫌いでもいいけど)を教えてもらうと目には見えない人となりを見せてもらったようで少しむず痒い

ユージニア 恩田陸

あの夏、白い百日紅の記憶。死の使いは、静かに街を滅ぼした。旧家で起きた、大量毒殺事件。未解決となったあの事件、真相はいったいどこにあったのだろうか。数々の証言で浮かび上がる、犯人の像は--。

過去起きた旧家の毒殺事件に対して、語り手が次々代わり、少しずつ事件の真相が明らかになっていくストーリー

事件を扱ったミステリーではあるものの、犯人をつけ止めるやトリックを明かす!みたいな内容ではなく、それを取り巻く人間の内面模様を書いているような本なので、すっきりはしない。

が、何人もの視点から語られていかうちに、当時の様子がだんだん自分の中でパズルを組み上げるように形をなしていく感覚は読んでて面白い。

ずっと不安、そしてグレーな幕引き

全体通して、山場もクライマックスも盛り上がるシーンもない。
作品内の多くのシーンがじめっとした夏ということもあってか、重いグレーなイメージを抱えてずっと読み進め、結末も読者に委ねられている。

「緋紗子」をどう捉えるか

事件当時盲目の少女であり、唯一の生存者である緋紗子

全てをわかっていたようにも感じるし、本人も最後に語るように不幸な偶然とも捉えられるものの、間違いなく彼女の「望み」が「兄さん」を動かして起きたのがこの事件。

さて、緋紗子は大量殺人犯か?それとも偶然から家族を殺された被害者か?

結果それも語られてはいないが、個人的には「こうなったらいいな」という心の奥にあった淡い望みが、周り廻って具現化した、そう捉えている。

いくつかの不幸は、ふとベンチで出会った青年が精神的に不安定であったこと(中一の盲目の少女の声を花の声、としてしまうほどには)
周りがあまりにも緋紗子に執着してしまっていたこと

そういう意味では「加害者」だし、「被害者」とも言える。少なからず、法によって裁くことはできないだろうが、それでも「真犯人」と呼べるのがましいるのならば彼女だろう。

答えは不要

とはいえ、「真犯人」も「正解」も不要
謎のままの描写もあるし、そもそも真実なんてものはどこにもない。

もし読んだことある人がいれば「あなたはどう思いましたか?」と聞いてみたい

オワリ






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