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「私の解放日誌」寡黙な男を演じるソン・ソックの魅力

私の解放日誌」を全16話完走しましたー。
観始めてから4日くらい?暇だったこともあって、結構なハイスピードで観終えたんですけれども、5月30日にネトフリで最終話が更新されることになっていたので、ぴったりのタイミング、最終話更新をじりじりと待つことなく、すっきりとラストまで走れたのはよかったです。

代わり映えしない毎日から抜け出したいと願う3人の兄弟が、自由と生きがいを求めて奮闘する姿を描く。
Wikipedia

ストーリーはといいますと、Wikipediaにはあっさりとこのように書いてありました。
まぶしくて」の監督、「マイ・ディア・ミスター」の脚本家ということで、間違いなく私が大好物と言える作品です。
何話進んでも暗く、重く、特に進展もなく、特にソン・ソックは飲んだくれて、月か星か山を眺めてばかりで、ほとんど表情だけの演技でセリフなし。
この男は何者なのかを知りたくて、中毒のように観進めてしまう不思議なドラマです。
3兄弟のそれぞれの人生が描かれ、私の解放日誌の肝となるキム・ジウォンですら、笑顔少なく、いつも不満がある表情ばかりのかわいいお顔がもったいない役です。
それが後半で少しずつ変わってくるのが分かります。それはなぜかは観た人だけが分かるので、、、。

そして、そして、このドラマの最大の魅力はソン・ソックさま!
マザー」でのあの恐ろしい男、「D.P」の嫌味な上官、、、あれ、ソン・ソックやったん?これは同じ人かと今日「D.P」見返しました。
確かに、確かに、あの嫌味な上官でした。
とにかく悪い人、嫌な人の印象しかなかったので、今回はもちろん謎多き男ではあるんですけれども、いい人よりのとても魅力的な人物だったのが、意外性もあり、多分このドラマを観たほとんどの女性の心をつかんだのではないかと思います。
役柄とソン・ソックがあまりにも合い過ぎて、ソン・クックがそういう人だと錯覚してしまうのだけれど、私のタイプではないのにホントに好きになってしまいます。

男性の中には、大して面白くもない話を延々とする人やべらべらとおしゃべり好きな人もおりますが、「男は寡黙であれ」と思います。
この人、ホントにしゃべらない。
2人が初めて外食するシーンでは、ただひたすらに黙って食べて、最後に残った1個をヨム・ミジョン(キム・ジウォン)に「食べな」って感じで、くいっとあごですすめるしぐさ。何も言わなくてもミジョンを想う気持ちが伝わってきました。隠しても好きなのがばれちゃっているというツンデレ感。

息子いわく、ツンデレはツンの部分が70%を超えると嫌われるらしいんです。その絶妙なラインを保って私をドキドキさせるのが、ミン・ユンギで、それを大幅に超えてもまだ嫌いにはなれないのが、ソン・ソック。もう大分超えてるんですけどね、不思議なことに魅力がさらに増すんですよね。
何でや?

登場人物の中の誰一人、共感できる人がいなかったのにもかかわらず、数々の名言、自然と涙ぐんでしまう場面がありました。
共感というほどではなくても、誰の心にも思い当たるふしが少しはあるんだと思います。そこにそっと触れられ心がかすかに震える、そんな感じ。
キスシーンが1回あるだけで、ほぼ触れ合いなしなのに、こんなにも深く心の交わりやお互いの感情を描くことができるんですね。「マイ・ディア・ミスター」「ミスター・サンシャイン」もそうでしたけれども、無駄なラブシーンを入れないことで、逆に切なさと人として愛する愛の深さを感じられるような気がします。こういうの好き。

私の印象に残ったのは、母の存在、ドラマのストーリー展開の切替どころとなります。
母はいつも家族のために働き続け、子供が大人になっても、幾つになっても小さい頃のままで、子どものことを心配し、小言を言ったり、世話を焼いては嫌がられ、それでもやっぱりかわいいと思いながら生きていくものなんですね。
そして、もう一つ、長女ギジョン(イエル)の悩み。
最初は不満ばかり言ううるさい女で全然好きになれなかっけれど、話が進むにつれ、ただ正直なだけのかわいい女性であり、一番共感できる存在となっていました。
女は40歳になっても50歳になっても、歳を取るだけで何も変わらない。むしろ少女の頃からそのまんまなのかもしれません。
私もまだ50、60、70、、、と老いていくことに不安があるけれど、中身は多分変わらない。歳を重ねていろんな経験はしていくし、外見も大人になって、人生の嫌なことや汚い部分も知っていくんだけれども、中身は14歳くらいで出来上がってて、そんなには変わらないんじゃないかなと思うんです。
その歳になれば、それなりで振り返ってもそんなには何も変わっていない。実際40代と50代で変わったか?と言えば、そうでもない。子どもは成長して、姑との戦いに熱くなることもない。苦労は少し減ったかもしれないし、むしろ楽になったかも。好きなことをすることができて、今をそれなりに生きています。
そう、歳を取ることに恐怖を感じる必要はないということです。

食べて、寝て、笑って、健康で生きていくこと。
自分を解放してあげること。

ぼやーっとしたドラマやなあ、と思って観ていたけれど、こうして振り返ってみたら、登場人物のそれぞれの人生を共に生きたような贅沢な気分。皆が幸せになってほしいと願ってしまいます。
観終わった後に心にずっしりと残るドラマでした。

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