日本の農業に未来はあるか ─ 種子が危ない? Vol.1
皆さん、こんにちは。Parole編集部です。
近年、「種子法の廃止」や「種苗法の改正」に関する話題がネット上で話題になり、芸能人がSNSでそれに意見を述べるなどして注目を浴びるようになりました。
しかし、廃止の経緯や国会での討論がテレビや新聞で積極的に取り上げられなかったこともあり、この法律がそもそも何を目的としたもので、廃止や改正によってどのような問題が生じるのかなど、正確に理解されることなく拡散されているようにも見受けられます。
今回は、海外の種苗会社に勤めておられたラボラトリオ研究員のゴトウさんに、「種子法」、「種苗法」を取り巻く現状と、その裏側に迫っていただきます。
■農業界の表と裏を知る
【編集部】
今日は専門家ならではの視点から、突っ込んだお話を伺えればと思いますので、よろしくお願いします。
【ゴトウ】
Parole読者の皆さん、はじめまして。
ゴトウヨシヒロと申します。
【編集部】
ゴトウさんは外資系の大手種苗会社で働かれていたご経験もあって、農業関係のお仕事に精力的に取り組んでこられたと伺っています。具体的には、どのようなことをされていたんですか。
【ゴトウ】
そもそもボクは、農家の出身でもなければ、農業高校や農業大学にも通学していません。高校を卒業した後、普通に地元の会社に就職し社会人になったのですが、22歳の時に交通事故に遭って死に損なったんです。その時の体験が強烈すぎて人生観が変わり、農業界に転身して現在に至ります。
最初は知り合いの有機農業の研修所や農家宅に住み込みで実習することからスタートしました。昭和世代の典型的なスポーツ筋肉バカでしたので、農業に関する知識はゼロ、ひたすら日々の農作業を体感するのみでした。(苦笑)
その後、運良く売上シェア世界第1位の外資系の種苗会社に就職することができ、技術営業職として世界各地の最先端の農業技術を学ばせてもらいました。世界に先駆けて「遺伝子組み換え種子」の研究にも取組んでいましたので、「遺伝子組み換え種子」研究の実態についても詳しく知ることができました。
日本の農業技術は世界でもトップレベルだと思っていましたが、実際には20〜30年ぐらいは遅れていたのでショックでしたね……。でもそのお陰で、国内の農業ビジネス専門の出版社に勤めることになり、日本全国のトップクラスの農業経営者、農業法人などに海外の農業技術情報などを発信するとともに、直接的に交流しコンサルティングのサービスを提供させていただいておりました。
その延長で、中国、アメリカ、イスラエル、ミャンマー、ドミニカ、スリランカ等の産地開発や現地調査などに取組んだのですが、その際に、まっとうな商業活動が国内外の乱脈な政治や異なる商習慣に翻弄されることが多々あり、大変苦労しました。
自分自身が政治や政策に苦労するまで、政治に無関心だった自分自身の無責任を反省するのと同時に、政治の仕組みを学ぶ必要を痛感し国会議員の秘書になりました。お陰で、政治の仕組みだけではなく、政界の裏表、農業界の裏表を体感することができ、世の中のフェイクニュースや陰謀論を見分けるための知識と術を身につけることができました。
2011年3月11日以降は、それまでの経験を活かし、大手法律事務所のスタッフとして放射能汚染された農地の損害賠償請求などの震災復興に関する仕事に取組んできました。そして、気がついたら、農業界オタク(?)として、「遺伝子組替え種子問題」「食料自給率問題」「F1種子問題」「農薬とミツバチ問題」「有機農業、自然農問題」などの素人さんには分かり難いけど身近なテーマについて、分かりやすく解説するセミナーなどを開催するようになっておりました。
まさか一緒に仕事している仲間から、インタビューされる機会があるとは思ってもいませんでしたが、過去の挫折、大失敗の経験を役立てることができてボクも嬉しいです。本日はどうぞお手やわららかにお願いします。(笑)
(編集部:詳しいプロフィールは末尾でご紹介しています)
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