霊的問題を脳の立場から考えてみよう その3
執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰
<恐怖体験は脳に記憶される。
そして恐怖体験は千差万別である>
恐怖体験は人によって千差万別である。当たり前のことである。人によって日常見ている景色も、体験していることも、知識の習得も、言葉によるコミュニケーションの内容も千差万別である。
つまり、記憶の中身は人それぞれで、誰一人として同じ記憶を持ち合わせてはいないのである。しかも記憶の凄さは、日々変化していることにある。それこそ一瞬一瞬変化していて、決して同じ状態の記憶は存在しない。つまり記憶は脳に記憶されるわけだから、脳自体が日々変化していくということでもある。
『進化しすぎた脳』(池谷裕二 著/講談社 刊)から引用するならば、“脳ってドンドン変わっていくよね。自発活動が起こって、その活動に基づいて、脳回路はそれ自身を書き換えていっちゃって、つまり自己書き換えが起きるので、もう二度と同じ状態はとりえない。僕らの思考だってそうだよね。過去の自分と今の自分は違う。脳には再現性がないんだ”。
たとえば前に強烈なホラー映画を観たとします。そして、そのホラー映画をもう一度観るとします。前に観たときから時間が経過して、その間に、いろいろな体験をしてきているわけです。記憶が増えているわけです。どう記憶が変化したかは、とうの本人は知る由もありません。
そしてある日、偶然に、そのホラー映画のシーンと同じような場面に遭遇したとします。このとき大脳の頭頂葉と後頭葉の境界にある角回(かくかい)という部位、この部位が刺激されてゾワゾワゾワーと感じるときがあります。自分のすぐ後に、背後霊のように誰かがベターッとくっついている感じがするようなときがあります。「うわーっ、誰かにつけられている。誰かに見られている」と、強烈な恐怖を感じるときがあります。
しかし、その背後霊を冷静に観察してみると、自分が右手を挙げると、その背後霊も右手を挙げる。3%の外部世界の情報に脳が反応して、97%の脳の内部処理によってトップダウンされた<思い込むための機能>感覚なのです。
心が身体の外にワープして宙に浮かぶという幽体離脱も、じつは、その幽体離脱を生じさせる脳部位が、実際にあることが実験でわかってきた。前述の角回を直接に電気刺激すると幽体離脱が体験できるのだ。
つまり脳には幽体離脱を生み出すための回路が用意されているというわけです。
(つづく)
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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】
◎立命館大学 産業社会学部卒
1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
1990年、株式会社 JCN研究所を設立
1993年、株式会社CSK関連会社
日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
マーケティング顧問契約を締結
※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。
◎〈作成論文&レポート〉
・「マトリックス・マネージメント」
・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
・「コンピュータの中の日本語」
・「新・遺伝的アルゴリズム論」
・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
・「人間と夢」 等
◎〈開発システム〉
・コンピュータにおける日本語処理機能としての
カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
・TAO時計装置
◎〈出願特許〉
・「カナ漢字自動置換システム」
・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
計測表示できるTAO時計装置」
・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等
◎〈取得特許〉
「TAO時計装置」(米国特許)、
「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等
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