言霊量子論 その1
執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰
対象性の自発的な破れと言霊
さて、言霊量子論の始まりは、「対象性の自発的な破れと言霊」からお話ししてみたいと思います。
量子論における「対象性の自発的な破れ」という現象は、宇宙創成の3分以内に起こった現象の一つでした。宇宙創成10のマイナス34乗秒後の時点では、17種類(※1)の素粒子が質量を持たずに光速度で飛び回り、対発生・対消滅をくり返しながら宇宙全体を満たしていたと考えられています。この時点での宇宙の温度は10の27乗度という、とてつもない超高温でした。しかし、この超高温の宇宙も宇宙自体が膨張するに従って冷え始め、10のマイナス6乗秒後の時点になると、さすがの超高温の宇宙も10の13乗度(一兆度)ぐらいに冷めてきたのでした。この時点で、17種類の素粒子の一つであるヒッグス粒子が変化したのです。
では、どのように変化したかというと、いままで水蒸気と同じような「気体状態」にあったヒッグス粒子が、宇宙の膨張により温度が下がるにつれて凍りつき始め、「固体状態」に凝縮したのです。ヒッグス粒子は宇宙を光速度で飛び回っていた17種類の素粒子の内の一つにすぎませんが「固体状態」に凝縮したヒッグス粒子は、やがて宇宙全体にヒッグス場として存在するようになります。つまり、水蒸気のような「気体状態」であったヒッグス粒子が満ちていた宇宙は「気体状態」であるがゆえに完全な対象性を保っていましたが、「気体状態」が「固体状態」に相転移して凝縮すると、水が結晶化して対象性を失うのと同様の状態が生じます。宇宙の対象性が破れてしまうのです。
では、宇宙の対象性が破れると、どうなるのでしょうか?
宇宙の対象性が破れると、宇宙を光速度で飛び回っていた17種類の素粒子の内の物質粒子(※2)と言われる素粒子たちがヒッグス場と相互作用することにより、光速度で飛び回ることができなくなるのです。光速度で飛び回ることができなくなった素粒子はE=MC2 というアインシュタインの相対性理論に従って質量を得るようになるのです。質量を得るようになった素粒子は、中性子や陽子として結びつく(修理固成<つくりかためなせ>)ようになり、やがて原子となり分子となり、最終的に私たち自身の肉体をも含め、宇宙の森羅万象のすべての物質の事物実体として存在するようになるのです。
言霊学においては、このヒッグス場の働きが結合エネルギーとしての鎮魂であり、産霊(むすび)と呼ばれるものであり、ヒッグス場が存在しなければ物質はバラバラになって消えてしまう、この世界そのものが存在しなかったという仮説を立てています。
では次に、言霊学における「対象性の自発的な破れ」についてお話しします。言霊学における「対象性の自発的な破れ」という現象は古事記の序文に続く「創世神話」に記述されています。「創世神話」には17種類の素粒子に類似するものとして、先天17神が登場します。この17神はご存じのように母音・半母音、そして父韻が兄神、妹神というように対象性を保ちながら生まれてきました。しかし、その対象性も宇宙における「対象性の自発的な破れ」のように、16、17番目の神として生まれてくる伊耶那岐神、伊耶那美神の働きにより対象性が階層的に破れ、大事忍男神から火之夜芸速男神までの三十二神が三十二子音として、そして「言霊五十音」として宇宙の森羅万象のすべての物質の事物実体に「名」、すなわち言葉を存在させるようになるのです。
また、言霊百神には、
古事記は不可知不可解の内容を独断した観念の遊戯ではない。<天津神諸の命> の修理固成の命令は、その天津神そのものである先天、天名に基づいて宇宙間のすべての要素の名を定め、その名の原理、すなわち原理の言葉を以て万物を命名し、その原理ある言葉を指導原理として国家、社会、世界を組織し建設し、経営せよという生命の命令である
と記述されています。言霊量子論 その1は、ここまでにしたいと思います。
次回は「森羅万象を支配する4つの力」について、言及していきます。(つづく)
<注>:
※1.標準模型に登場する17種類の素粒子は、フェルミ粒子として( クォーク6種類、レプトン6種類)、ボース粒子として( ゲージ粒子5種類:光子・グルーオン・W ボゾン・Z ボゾン・ヒッグス) の合計17種類の素粒子。
※2.フェルミ粒子( クォーク六種類、レプトン6種類) を、物質を形成する粒子と呼ぶ。
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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】
◎立命館大学 産業社会学部卒
1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
1990年、株式会社 JCN研究所を設立
1993年、株式会社CSK関連会社
日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
マーケティング顧問契約を締結
※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。
◎〈作成論文&レポート〉
・「マトリックス・マネージメント」
・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
・「コンピュータの中の日本語」
・「新・遺伝的アルゴリズム論」
・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
・「人間と夢」 等
◎〈開発システム〉
・コンピュータにおける日本語処理機能としての
カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
・TAO時計装置
◎〈出願特許〉
・「カナ漢字自動置換システム」
・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
計測表示できるTAO時計装置」
・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等
◎〈取得特許〉
「TAO時計装置」(米国特許)、
「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等