脱マトリックス!理論と実践2020 (vol.9):人は遺伝子に支配されない
執筆:いち あまね
この時代の人類の進化の方向性として、はっきりとこの世界の仕組みを理解した上で、マトリックス空間を抜け出し、自分を超え、人間を超え、無限の可能性を発揮するクリエイターとして生きること。
そのための情報をお伝えしていきます。
人は、遺伝子の運命論に支配されない
「人間の設計図は、遺伝子。だから、遺伝子には逆らえない」
「体の状態も、性格などの心の状態も、生まれた時から遺伝子に決定されている」
それが、科学的な事実だと考えていないでしょうか。
「育ちより、氏」とも言える、100%遺伝子支配説は、人間から自由意志を奪い、力を奪います。
「どうせ、生まれた時から自分の人生は決定されているのだから、自分では何もコントロールできない」という考えに陥ってしまいがちです。
でも、結論から言えば、遺伝子による完全な運命論的な支配は、最新の研究で覆されています。
ヒトゲノムプロジェクトによって、人の全ゲノム解析が完了し、たった100ドルで自分自身の全ゲノム解析もできるようになりましたが、そこで、矛盾が明らかになってきました。
実際に、私自身もクリニックで遺伝子検査を提供していたことがありますが、「肥満遺伝子」を持っている人が、ガリガリだったり。「慎重な性格」とされる遺伝子を持っている人が、極めて大胆であったり。
「〇〇遺伝子がある」と言う結果が当てにならないことが多くあります。
ゲノムをコントロールするエピゲノム
この原因となるのが、遺伝子のコントロール役「エピゲノム」です。
遺伝子は、確かにいくらか病気の要因になるものの、さらに大きく影響しているのは、エピゲノムだとされています。
エピゲノムとは、遺伝子の上についた飾りのような構造で、環境からの情報を受けて、遺伝子の活動を選択し、修飾し、制御するものです。
実際の遺伝子の振る舞いを決定している因子がエピゲノムです。
遺伝子は、確かに人間の設計図には違いありませんが、それは、あくまでも「図面」であって、実際の建築がその通りに行われるわけではなく、図面に描いてあっても作られなかったり、必要に応じて組み合わせたりして、アレンジされます。
そのアレンジは、細胞の周りをとりまく環境に応じて行われています。物質的・エネルギー的な細胞周囲の環境の変化によって、エピゲノムに変化が起こることで、その遺伝子を機能させたり、機能させなかったりします。
環境が細胞の振る舞いを決定する
つまり、細胞の振る舞いをコントロールするのは、遺伝子ではなく、環境。環境が、エピゲノムを通して、遺伝子自体の働きをも制御しています。
エピゲノムの働きによって、遺伝子は、不動の存在として君臨するのではなく、環境に応じて、フレキシブルにその振る舞いを修正し続けているということが明らかになってきました。
生物は、常に環境とコミュニケーションをとることによって、環境に対応することで上手に生きていますが、細胞も同様に、常に環境の変化に対応する柔軟性を持ち合わせています。
そうでなければ、刻々と変化し、時に過酷な環境の中で生命を維持することはできませんから、建設的なシステムです。
フレキシブルに変化できるレスポンシビリティが高い生物こそが、サバイバル能力が高いと言えますが、細胞も同じです。
つまり、細胞を健康に維持するためには、細胞の周りの環境を整えること。そして、細胞が環境の変化を敏感に察知し、柔軟に対応できること。
これが大切と言えます。
心も環境に影響を与える
細胞の周りの環境とは、どんなものでしょう。
まず、物質的な環境です。血液・体液に含まれるホルモン、生理活性物質、免疫細胞やそれらが生むサイトカイン、栄養成分、外来の化学物質などの分子により作られます。
食事から摂る栄養素、飲み物、大気、気候、ウイルスや細菌などの微生物。
さらには、潜在意識に反応する大脳辺縁系には、自律神経やホルモン分泌の中枢がありますから、神経やホルモン分泌を通して、感情やストレス、トラウマなども、物質的な細胞周囲環境を変化させます。また、ストレスによって交感神経を通して炎症が起こると、炎症性サイトカインが細胞を刺激します。
心と体は、分子レベルでも密接に関連しています。
エネルギーを感知する受容体
さらに、興味深いのは、エネルギーフィールドとしての環境も、細胞に影響を与えることです。
エピジェネティクス分野の世界的な研究者、スタンフォード大学でも教鞭をとり、アメリカの医学界の正道にいた細胞生物学者のブルース・リプトン博士は、次のように述べています。
「人間を含め、全ての生物は、エネルギーフィールドを認識することによって環境から情報を読み取り、情報のやり取りを行なっている」
細胞膜の受容体には、光や音などのエネルギーフィールドを読み取るアンテナがあり、これらのエネルギー受容体は、細胞周囲の環境のエネルギー的振動に共鳴し、音叉のように共鳴し、その振動によって、受容体のタンパク質の電荷が変化することで、細胞に情報を伝えることができることがわかっています。
ブルース・リプトン博士は、「細胞膜の受容体は、エネルギーフィールドを読み取ることができるのだから、分子だけが細胞の活動に影響を与えるのは時代遅れだ」とも述べています。
音、音楽、祝詞などによる振動、耳には聞こえない周波数域のロゴストロン信号、また、場を祓い清めることによるエネルギーフィールドの変化を、細胞は感知しているということです。
人間の細胞は、原子、素粒子のレベルでは、実体のある物質(粒子)と見せかけて、非物質的なエネルギーです。
物質的な肉体を整える分子的なアプローチと、エネルギーフィールドを整えるアプローチは、相補的でいずれも重要なのですね。
さて、今回は、大変ざっくりと、環境とエピゲノムについてお話ししましたが、これらはもっともっと深掘りしていきたいところです。
私自身は、スタンフォード大学においてヒト・ゲノムプロジェクトに関わっていた細胞生物学PhD.で、エピゲノムにもアプローチ可能なエネルギー治療を研究しているローラ・ストゥヴェ博士から、エピジェネティクスについて学びました。
自分自身のライフスタイルや心の状態、先祖のライフスタイルや心の状態が、エピゲノムを通して、良くも悪くも、自分自身の健康に影響をしています。
エピゲノムと家系的なカルマやトラウマ体験、信念、習慣などの遺伝は、大変に興味深いお話なので、これから共有していきたいと思います。
(つづく)
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【いち あまね プロフィール】
医師・認定産業医・文筆家
米国IBA認定・ボディトークプラクティショナー
国立大学医学部医学科卒
出口王仁三郎が霊山として、邸宅を構えた岡山県熊山遺跡の麓に生まれる。
某大学病院糖尿病代謝内分泌科を経て、臨床医として最新のバイオロジカル医療・予防医療から在宅・看取り医療まで幅広く臨床経験を積みながら、個々の病気の根本原因やより良き生と死に向き合ってきた。
究極のヘルスケアは、人類の進化であると捉え、最新の分子整合栄養療法・バイオロジカル医療から常在細菌学、生命科学、意識科学、理論数学、物理学、哲学などを統合した視点で、医療とヘルスケアの次元上昇を目指している。
薬を処方する代わりに、情報空間へのアプローチとして、情報を処方することを天職と捉え、書籍やメディアなどで情報を発信している。