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アサヒクッキンカットのあゆみ

1965年日本で初めて合成ゴムのまな板をつくったパーカーアサヒのまな板ブランド@クッキンカット。そのあゆみを綴って行きたい。

■開発のキッカケ  

1960年代から木のまな板は、食品衛生法の改正により大幅に制限されていったが、巷にあるのは、木製まな板と、輸入品のプラスチックまな板(ピンク色)だった。

為替レートが1ドル=360円の時代なので、輸入品のまな板が気軽に買える価格ではなかったと容易に想像できる。

そんなある日、アサヒの仕入先がアメリカへ視察に行った折、たまたまタイヤで有名なグッドイヤー社の合成ゴムまな板(*現在は生産してません)を見つけて、日本に帰国後に「アサヒで合成ゴムまな板を作れないか?」と声を掛けてくれたらしい。


■目指した場所

木のまな板には木目があり、硬いところは包丁の刃先がやられ、柔らかいところは木がやられる。まな板表面の硬さは一定ではないので、木のまな板が必ずしも良いとは思えなかった。

通常、まな板が柔らかければ、傷がつきやすく、不衛生になりやすい。逆にまな板が硬ければ、包丁の刃先を痛めるし、刃あたりも悪い...

木のような見た目、表面の硬さが均一で、適度な柔らかさを保ちつつ、そして傷がつきづらい、そんな理想のまな板が作れないか。

■試行錯誤

開発着手といっても、手元にあるのはグッドイヤー社の合成ゴムまな板だけ。粉末が配合されているのは見て分かったが何なのかは解らなかった。まさに手探りの状態から開発は始まった。

ようやく出来上がった試作品は刃あたりの感覚が木よりも硬すぎると料理人から拒否されたという。頭を抱えたスタッフの間から、ふと、木の粉を混ぜたらどうだろう、という意見が出され試してみると刃先が微妙に食い込む木の感触に近づいた。

そこで、木粉とゴムの配合比率、木粉の細かさ、架橋温度と圧力などを繰り返しテストした結果、ついにアサヒクッキンカットが完成した。

■最後に

現存する合成ゴムのまな板のメーカーで、日本だけではなく、おそらく世界で最古の歴史を持つパーカーアサヒ。

そのクッキンカット完成までのあゆみは、使い手を思いやる心。自然を愛する心。まさに日本の文化を体現した至高のまな板だと誇りを持っております。少しでも、皆様が『クッキンカット』にご関心を持つキッカケとなれば幸いです。

*上記は、過去の社内資料をベースに一部加筆して、個人的にまとめた内容です。

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