全米レコード協会 アナログレコードが33年ぶりにCDを上回る売り上げを記録するだろうと報告【コラム】

出展: http://amass.jp/125297/
オリジナル記事: https://www.rollingstone.com/music/music-news/vinyl-cds-revenue-growth-riaa-880959/

見出しだけ見ると結構インパクトのある話ですが、実は音楽のデジタル化の流れの
中で生まれた必然的な現象であり,日本はすでに似たような状態になっていると思います。むしろ日本に海外が追いついて来た?と言えるのではないかと思える。

海外、特にアメリカは熱心な音楽ファンが通販や専門店でアナログレコードを購入する以外に、アパレルショップや雑貨店でアナログレコードが販売され始めるなど
「音楽」だけではない付加価値を持って既存の販路以外でCDよりも高額な価格で販売され始めている事が売上拡大の一因でもある。

事実、大半の新譜アナログにはダウンロードカードが付属しており、外で音楽を聴くために直接、携帯端末にMP3データをダウンロードできるようになっており、音源としての価値だけでなく、ファンアイテムとしての価値、アートワークを所有、インテリアとして飾るなどするアイテムとしての付加価値が加えられている、おまけに付属のダウンロードカードで簡単にDLもできる。

これは視点を変えれば「DL販売にアナログが特典として付いている状態」
ファンからすればアナログレコードを選択しない理由が無いように見える

すでに海外ではCDショップやCD取扱い店舗は死滅しており、パッケージを購入するには通販しか選択肢も無いのだから、熱心なファンならば「どうせ通販で購入するなら部屋に飾れるパッケージがついてて、ダウンロードも簡単にできるしアナログ買うわ」というのが当たり前の選択だと思う。

近い将来日本でもアナログ売上の急拡大は起こるとは思うけれども、前記の通り日本ではすでに特典文化があり、ナショナルチャートの上位の大半を握手券目的での購入や、ファンアイテム化したCDで埋まっており、海外でのアナログレコードと同じ現象がすでにCDの段階で起きており、それによって今だにCD市場が維持されてるという世界的にも稀な現象が起きている文化圏でもある。
( 特典文化については各方面に語り尽くされているのでここでは書きません )

日本は海外のようにCDショップの絶滅というフェイズを未だ通過していない事、
そしてアナログレコードの製造環境と流通システムの違いが日本のCD市場を
ガラパゴスとして存在させている一因でもあると思う。

現在、国内でのアナログレコードの製造ラインの選択肢が少なく、製造単価も高めなのでリリースする側としての旨味が少なく、制作者も工程に慣れていないという状況である。 今後、製造ラインの選択肢が増加し、製造単価が下がれば、中間流通や、販売ルートの問題も解決しやすくなり、特典による購買活動を先導しているアイドルの運営や、アーティスト事務所、レーベルもアナログレコードを「利益の取れる商品」として販売が強化される可能性は十分にある。

デジタル化の音楽市場のパラダイムシフトは5Gの本格導入でさらに急加速するはずで、インデペンデントで活動するアーティストにとっては判断次第では今後の活動に大きく影響する現象の一端だと思います。

アナログレコード/CDなどのフィジカル・コピーを今後どう扱うか? アーティストは思っているよりも早い判断を迫られることになりそうですね。


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