えかきもじ展によせて ③
緊急事態宣言が出てる中での『えかきもじ』展。なかなか作家さんにも在廊を推奨できないので少し寂しい気持ちもありますが、SNS で盛んにコミュニケーションできててうれしく思います。たぶんコロナとか、もし、なってなくても、本来こうした小さなギャラリーは特に『場』や『距離』にとらわれないビジョンで、いろいろと交流や発信をしなければいけなかったんだと思います。作品を『売る』ことも『買ってもらう』ことも大事なんですが、作者の思いを届けたり、作品の見方や感じ方、楽しさを共有できるようなアクションを少しずつ起こせたらと思います。
今日も少し、店頭に飾られてる作品を紹介します。絵の延長線上に文字が描かれてる作品をいくつか選んでみました。
かわいいだけじゃないのよ
イラストレーターの yomikake さんが選んだ言葉は『星をみにいく 山へ』。今年の目標を描いた1枚とのことですが、倒置法が絵の世界観とマッチしてるのがいいところ。じわじわきます。『山へ星をみにいく』では、覚悟が決まりすぎていて、この絶妙な脱力感が出ない。山に行く実感のない格好をした2人もいいですね。一見「ゆるく」「かわいい」絵に見えるかもですが、アンリ・ルソー感さえある木のデフォルメの描写や、月あかりで浮かんで見える夜空のうねりの表現が「さすが」という感じ。かわいいだけじゃないのよ。yomikake さんはパークのオンラインマガジン『パークギャラリーに居るひと』で漫画の連載もしてます。よかったらこちらもどうぞ。
パッと明るくなるやんかなあ〜
グラフィックデザインのセンスも兼ね備えるイラストレーターしまはらゆうきさん。まるで設計図のような直線と曲線で構成されているコンポジションと、大阪人 meets LONDON なビビッドでどこかスモーキーな色使いが特徴的です(パークの冷蔵庫のイラストもしまはらさん)。スカジャンの背中には餃子を食べる龍と、中国語で「おいしい餃子」を意味する言葉。『食べる』ことが好きで、食べるシリーズを得意とするなしまはらさんならではの1枚に仕上がってると思います。しまはらさんのほかの作品は彼女のサイトでも見ることができますのでぜひ。コロナで鬱屈とした気持ちがパッと明るくなりますよ。
やさしいもじ
今回の『えかきもじ』展は、イラストレーターの<性格>も文字や絵に表れるのではないかとひそかに楽しみにしてました。どんな性格の作家さんなのか、を、分析して楽しむのも1つの楽しみ方かと思います。イラストレーターのれのすかさんはまさに、読んで字のごとし。れのすかさんの絵に共通するやさしい雰囲気が『おはようおやすみ』の言葉ににじみ出ているなと思います。接しやすい。鼻がデフォルメされた犬も「もしかして文字かも?」と思ったけど、眺めても眺めても犬でした。考えすぎもここでは『あり』です。去年デジタルからアナログへ移行して、深みがグッと出たれのすかさん。今後発表される作品に注目です。
2021.01.16 追記
おやすみは寝るから横書きに、おはようは体を起こすから縦書きにしてみました!というメッセージをご本人からいただきました。なるほど!
まるで宝船のような
文字といってももちろん日本語や英語だけじゃないですよね。台湾出身で東京在住のイラストレーター aikoberry さんは中国語(繁体)を描いて届けてくれました。aikoberry さんのどこかエキゾチックでポップなタッチで描かれた言葉。PARK という文字の下にはさりげなくパークの住所が書かれたポストがあったり、とてもうれしかったです。そのほかにも台湾由来のめでたい言葉が並びます(5Gもある意味めでたい)。中でも「招財進寶(しょうざいしんぽう)」からなる難しい〜漢字がありますよね。この文字には『商売繁盛』の意味があるので、お店をやられてる方にオススメです。
花のように描く
台湾つながりでもう1名。Wei Hsuan さんも東京を拠点に活動する台湾生まれのイラストレーターさんです。台湾に行くと小さな島国同士とてもよく似てるなって思う部分も多いけれど、やはりマネできない美しい色彩感覚があるなと Wei さんの作品を見るたびにいつも思います。そして Wei さんの描く人は『花』や『植物』みたいだなとも思っていて、『Love』という文字が象徴的なこのポジティブな作品の女性も、ぼくには花のように見えます。可憐ではかなくもあり、凛々しく力強くもあります。かっこいい1枚。他の作品もぜひ覗いてみてください。
ちなみに
明日はついに unpis さんの凧がグッズで届きます。限定3部と貴重なので、手に入れたい方はお急ぎを。
また週末、来れない人のために作家さんの紹介をしていきます。どうぞよろしくお願いします。
パークでディレクターを担当している加藤が紹介しました。
おしまい