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- lunar mare #02 - by 星野佑奈

今日の自分のやるべきことの予定を立てたのに
自堕落な私はいつも通りそこに墜落し、
うまく時間と予定をこなせなかった。

今日は友達の個展の最終日。
行くつもりで手帳にも書いていたのに
「ごめん、今日はいけない」と連絡をした。

連絡をしてしばらくしてもやもやした。

今から走って駅に行って電車に乗れば30分でも友達に会えるのに!と思った。

私はいつも通り短時間で適当な落書きみたいなお化粧をして、
家を出て走って駅に向かって電車に乗った。

四ツ谷駅から荒木町の番狂わせまで早く着けるのはどの改札口から出たらいいかを駅員さんに聞いた。
少しの時間でも無駄にしたくなくて一番早く目的地に着きたいと思った。

駅員さんに一番近い出口をよく聞くがいつも丁寧に教えてくれる。
こんな些細なことでも知らない人と話すのはやっぱりいいなぁと思う。


四ツ谷駅を出ておっきな当路沿いを走って番狂わせに向かった。

お店に到着すると外までお客さんがいた。久しぶりに会う友達もいた。

山田さんは、知り合いがたくさんいるのか忙しそうにしてた。
一杯だけハイボールを頼んだ。知らない人たちともお話をした。
やっぱり誰かと話すのは、今ここにいるたった一人のその人と話すのは楽しい。

ハイボールも無くなりそうで時間も無くなってきたから山田さんに最後に話かけた。

この前、ももちゃんとロイヤルホストに行った時に書いたポストカードは山田さんに宛てて送った。

「ポストカード届きましたか?」

と聞くと、

「届きましたよ。あの場で書いてくれたんだなぁて思って。手紙が温かった」

と言われて、

「なんでそんなこと言ってくれるの」

と言いながら、
私は涙を流してしまった。うれしくて。

私はとにかくよく泣く。
怒っても嬉しくても涙がぼとぼと出る。
山田さんの前で泣いたのは初めてだと思う。

気持ちが伝わるとうれしい。

こんなことを言ってくれる友達がいて本当に嬉しいと思うと涙が出た。

時間が無くなってきたので涙を手で拭いてお店を出た。

途中ミニストップに寄って安酒を買い、
缶の蓋を開けて私はそのまま駅に向かって走って吉祥寺を目指した。

2022.6.30


独自の視点で様々なアーティストからも支持を集めている気鋭の写真家・星野佑奈さんが、写真を通じて見つけた光と言葉を日記で綴っていきます。前向きで、時に後ろ向きな、等身大の思いが、みなさんの「光」につながればと思います。

星野佑奈・写真展 『LUNAR MARE』 開催します。

星野佑奈(ほしの・ゆな)
1989年兵庫県生まれ、東京都在住。
展示作品の制作発表、雑誌やweb等でミュージシャンの撮影を行なう。自分の目で見て綺麗だと思った時間、景色の温度を大切に写真を撮っています。
https://yunahoshino.com
https://www.instagram.com/g_b_lastplanet

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