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よむラジオ耕耕 #35 「俺の孤独を返してくれっ!」

加藤:この秋は「食」をテーマにカルチャーについていろいろ話しています。今週もリスナーさんからのお便り読んでいきましょう。「ラジオ耕耕」を聴いて、写真を撮りはじめましたという方からのお便りです。

ちなみにお便りはこちらから送れます。

オススメの食カルチャーは「フードインク」という映画です。大学生の時に見た映画です。アメリカの食品生産現場が工場化されていく現状にスポットを当てたドキュメンタリーです。命を効率的に生産するという恐ろしい現状がそこにはありました。

東京都在住 20代 もう坊主ではない坊主マン

加藤:星野くんは「フードインク」見ました?

星野: 見てないです。予告見ると衝撃的な内容のようですね。アメリカ人の食について、その基本となる食材が作られていく過程にスポットを当て、警報を鳴らすドキュメンタリー。公開は2010年ですね。

加藤:当時から牛にバーコードがついたビジュアルが印象的だったね。

星野: 「フードインク」は食品株式会社という意味らしく、アメリカの食業界でほんのひと握りの大企業だけが儲かる現状、さらにそれが世界中の食卓に影響を与えているということを、実際に生産者のインタビューだったり、工場での取材だったりで伝えていく作品だそうです。加藤さんは見ましたか?

加藤:まだ見てないんだけれど、これは見よう! 気になる。

星野:すごい⋯改めて調べてみたらジャンルが「ドキュメンタリー・ホラー」となっています(笑)。

加藤: おそらく牛を殺すシーンなどあるだろうからね⋯。でもそれも含めて現実ですからね、受け止めてみましょう。

ちなみに坊主マンさん、もうひとつ作品を紹介してくれています。

星野:こちらは写真集ですね。写真家の本橋成一さんの『屠場』という写真集です。大阪の食肉加工工場を舞台にした写真集です。題名の通り、屠畜場で牛が解体されていく様子が白黒写真で写されています。作者の前書きにあるように、「昨今、食べるに至るのに命が見えなくなってきていると、私も感じます。もう一度、食とはどういう行為なのかそれを思い出すためにいかがですか」

加藤:これも見てみたいなぁ。食に対する向き合い方ってもっと一人ひとり考えてもいいと思ってて、こうやっていろいろな作品を通じてリスナーのみなさんにも与えていきたい。

星野:続いてお便りが届いています。

すでに出たかもしれませんが、『孤独のグルメ』が好きです。いつも番組に出ているお店に行きたいなと思うのですが、なかなか行けず。

神奈川県在住 30代 ルックバックさん

加藤:『孤独のグルメ』見てますか?

星野:たまにみますね。配信もされているので。

加藤:『孤独のグルメ』って世代で印象違うのかな?という気もしている。僕なんかは、おいしそうな店をクリップできるよろこびがあるんだけれど20代的にはどうなの? インスタとかグーグルの方がいいとか?

星野: ああ(笑)。でも、番組自体(の狙い)が映え目的じゃないので。渋い店もたくさん出てきますし、確かに好き嫌いはわかれるかもしれませんが僕は好きです。地元のひとが足繁く通うような店が好きなので。二極化ですかねえ。

加藤:そもそも今の若者ってすぐ調べられるから、ひとりで足で稼ぐみたいな「孤独さ」がないんじゃないのかなと思ったり。SNS もあるし、食べログとかもあるし、孤独さを感じにくいんじゃない? 孤独なグルメの主人公・井之頭五郎はネットで調べないじゃん(笑)。足を信じて探すっていうか。ドラマだからおいしい店ばかり行ってると、五郎の探し方ではきっとハズレがあるわけで⋯。それを避けるために若者は検索するのかなと。

星野:確かに事前にめっちゃ検索してレビュー見ちゃいますね。外観写真とか。でもレビューも書かれてないような渋いお店は、自分の中で取っておいて、言わないでおこうと思っています。

加藤:レビューのないところたまにあるよね。おいしい店もあるけれど、でもやっぱり自分の舌が合ってるか疑っちゃうよね。レビューないってことは人気ないのかなって。おいしくないのを雰囲気でおいしいって言ってしまってないかと。『孤独なグルメ』の真似して何も調べないで勇気を振り絞って入って、味もそんなにで、あとで調べて見たら評価1とか。そういう時に「俺の孤独を返してくれ!」って思う。最初から調べればよかった(笑)。

星野:調べずに入ってめちゃくちゃよかった店ってありますか?

加藤:パッと思い浮かぶところが1軒、大阪で焼肉を食べに行った時にあったのよ、難波で。外観は少し古くて汚いけれど、なんかいい感じだなと思って入ったのよ。結構焼肉行く時はそれでも行く時があって、当たりが多いんだけど、そこは特別おいしかったね。で、大阪に訪れるたび行くんだけど、まわりの焼肉屋はすごく混んでるのに、そこだけ空いてるの。これ本物なんだなって。

(よむ耕耕の読者にだけ教えちゃいます / 点数のわりにおいしいです)

(ラジオでは紹介しませんでしたがこちらも。なぜこんなに点数が低いのかがわかりません⋯いや、嘘です。点数がのには低い理由があります⋯)


星野:では次のお便りです。

「三月のライオン」という漫画の食べ物が出てくるシーンがかわいくて好きです。

北海道在住 40代 匿名希望

加藤: 見たことありますか?

星野:ないですねえ。

加藤:『三月のライオン』は『ハチミツとクローバー』を手がけた羽海野チカさんによる日本の漫画作品。将棋を題材としています。神木隆之介くん主演の映画もあるよね。見たことないけれど、有名なのかな。知ってるね。「かわいい」ってどんなシーンなんだろうね(笑)。将棋の前に何かかわいく食べるのかな?

星野:調べてみたら実の姉じゃないお姉ちゃんが作ってくれるご飯が出てくるそうです。

加藤:ますますわからない(笑)。ライオンもどんな意味があるんだろうね。「孤高」「孤独的」な意味なのかな。でも、こうやって先週からみんなにオススメ聞いてみているけれど本当にいろいろな作品があるね。さて、今日はもうひとつ。ぼくらへの質問も届いております。

いつも楽しみに聞かせていただいています。自分のことではないのですが、一人でぐるぐると考えてしまっているのでおふたりに相談です。まわりに小学校の高学年や中学生で学校へ行けなくなったお子さんが何人かいます。事情はそれぞれのようで、みんなどこか「居心地の悪さ」のようなものがあって、それが複雑に絡まっているのかなと思います。わたしは必ずしも学校へ行かなければならないとは思わないのですが、まわりの大人にできることは何かないのかなと考えてしまいます。

学校行く行かないを白か黒かで判断する世界ではないと思うんですよね。白黒で判断しない世界のヒントはアートやカルチャーにあるような気がしていて、ふたりの考えが聞けたらうれしいです。

加藤:これはすごく大事な話な気がするな。今週は時間がないので今後ゆっくり噛み砕いていければと思う。ただひとつ思うのは、あんまりうまく言えないけれど国語とか理科とか数学とか、そういうのでカテゴライズして数字で成績がつけられるという現場にいたことがあんまりないというか⋯ぼくはそういう人間なので、うまく話せるかな。でも、詰まるところこれは国がね。よくないんじゃないかと俺は思ってしまうけれどね。環境の作り方というかね。

星野:アートやカルチャーにヒントがある。これを耕耕で広げて行けたらいいですね。

加藤:そうだね。1ヶ月くらいかけるような気持ちでじっくり答えていきたい。

というのも、ぼく、最近『リベラルアーツ』という学びの手法の勉強をしていて、「自由学芸」や「教養諸学」と呼ばれているかな。つまり純粋な教養。学校の国語とか算数とかではなくて、生きるための術を自発的に、能動的に学ぶことが大事だと言及している先生がいて、日本の教育はまさに、逆リベラルアーツなところにあるんです。だからこそじゃないけれど「リベラルアーツが必要なんだよ」ということを発信しているひとたちが最近増えています。最近本で読みはじめただけなのでなんだか浅く聞こえるかもしれないけれども。注目しています。生きる知恵として、人文学・芸術・自然科学・社会科学という分野が学べるリベラルアーツを大事にしている学校というのも各地にあるので、そこにもヒントがあるんじゃないかなと思っています。その中にはもちろん芸術が入っていて、うれしいじゃないですか。どんなにダメな人間でも、内気なひとでも、「芸術」が開いてくれた歴史ってあると思うので。

星野:耕耕でも「リベラルアーツ」のこと、ゆっくり考えていきたいですね。

つづく

よむラジオ耕耕スタッフかのちゃんによる文字起こし後記

アートやカルチャー、主に芸術に重きを置いていた本番組も、最近の「食」に関してのテーマを取り扱うようになってから、以前にましてグッとラジオが生活に浸透してきているような気がする。耕しながら、人生を並走してくれるラジオ、本当に愛おしい時間が流れていると感じる。ラジオがある限り「俺らは孤独ではない!」と、締めくくらせていただく。

\ シーズン2はじまってます /


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