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よむラジオ耕耕 #07 『それぞれのいろいろな悩み』

加藤:こんにちは、こんばんは。パークギャラリー の加藤 淳也です。

星野:北千住で PUNIO というギャラリーを運営しているの星野 蒼天(そら)です。

加藤:今週もよろしくお願いします。

— すでに終了した展示に関して話をしているので前半を割愛します —

加藤:さて、今週のトークテーマなのですが、たまには PUNIO の話をしようじゃないかというところで星野くんにいろいろ聞いていきたいのですが、ちょうどこんな質問がきています。

星野くんの PUNIO でのやりがい、楽しみ、そして不安に感じてることはなんですか? 

匿名希望(東京都 20代)

星野:あーなるほど⋯難しいですね。まず最初に PUNIO の説明を詳しくすると。僕1人で PUNIO をやってるわけではなくて、今は小学校からの幼馴染み3人でやってます。ただ、幼馴染なんですが3人ともそれぞれ育ってきた環境も文化も少しづつ違っていて、ひとりは俳優をやっている大也(だいや)、そしてもうひとりは、この間までアフリカを旅していた蓮(れん)、そして僕の3人です。もともと美術に興味があって、アートが好きでっていう3人が、北千住の PUNIO の2階で暮らしながらギャラリーをやっています。

加藤:貴重な存在だよね。しかも3人が揃う。もともと美術部でのつながりとか?

星野:いや、3人は中学校の時に同じバスケ部だっただけんです。休みの日に一緒に遊ぶほどは仲良くなかった(笑)。3人で遊ぶようになったり仲を深めていったのは高校からですかね。別々の高校だったんですけど「地元の友達」ってくくりでよく遊ぶようになったんですよね。まじめな話もできるし、ばかみたいな話もできるちょうどいい距離感だったんですよね。

加藤:わかるわかる。

星野:学校が違うからっていうのもあると思うんですけど、人との関わり方もそれぞれ違って。僕は比較的「社交的」な人間なんですけど、大也は結構ひとりでいるのが好きだったりするんです。だから一緒に PUNIO の2階で生活をしはじめて、そのリズムの違いとか、10年以上一緒にいたはずなのにはじめて気づくこともあって⋯。お互いの絶対に許せない部分とか譲れない部分のぶつかり合いで衝突したこともありました。でも結局ここまで「付き合ってきた長さ」が支えてくれている気がしますね。

星野くんの不安

星野:そんな中での僕の不安は「PUNIO を永遠に続けられるのか?」っていう部分です。僕はこの4月から仕事の都合で実家に帰って週末しか PUNIO にいれないんです。しかも学生時代とちがって物理的に前より PUNIO の運営に時間がとれなくなってくる。その上で役者の大也も舞台が決まったりして忙しい。蓮はまだ大学生だから暇してますけど、いずれ卒業したらどんな道に行くのかまだわからない状況なので結構不安に感じてます。このままで大丈夫かな…という。

加藤:なるほど。絶対に続けたいし、うまくいきたいし、終わるわけないと信じているけれど、客観的に見たら離婚するしかなかった夫婦とかいるよね(笑)。そんな感じかな。例えば一緒にいたいと言ってるけれど出張が多くて家にいないとか、やりたいことをやってはいるけど、お互いのことが見えなくなってしまった夫婦とか。それって「気持ち」はあるけど、ボタンを掛け違えているというか。自分の思い通りにいかなくてパンクしてしまっただけというか。それってお互いがあってのものだし、不可抗力で崩れたりするようなものだから、いざという時のために何か解決策は用意はしとかなきゃいけないしね。

星野:そうなんですよね。

加藤:いま悩みを聞いてて思ったのは、一緒に住む以上「いつか別々に暮らす」っていうのは当たり前だろうし、どんなに仲が良くても環境が変われば解散っていうのはある話だから「そんなん PUNIO をはじめる前から念頭になかったの?」とは思うけどね(笑)。若気のいたりだったのかな。

星野:若気のいたりではめちゃくちゃあったと思います(笑)。勢いではじめたのもあるので。

加藤:頭の中ではなんとなく想像できたけれど、いざ自分たちでやってみたらイメージと違かったってことだよね。

星野:そうなんです。だから最近「ちゃんとしよう」と思って「親しき中にも礼儀あり」じゃないですけど、ルールを作った方がいいと思ってみんなで契約書を作ったんですよ。

加藤:3人がこうあるべきだみたいな?

星野:そうです。PUNIO の約束事を決めて、契約を交わしたんですよね。

加藤:いいね、なんか。ただ、そういう契約を書類上で交わすことは大事なことだとも思うけど、いじわるで言うと「終わりのはじまり」というか、最初に思い描いていた初期衝動タイムの終了のお知らせのような気もするよね(笑)。まぁ悪いことではない。それはもちろん。

星野:加藤さんがやってるラップユニット FFF も「解散をしない」って決めてるんですもんね。

加藤:決めてるというか、解散する意味とかあんまりわかっていない。それほど活動していない(笑)。でも解散しないっていいなって思う。続けるってそれだけで価値があるなって。だから、PUNIO の3人が交わした書類がそういう契約書だったらいいと思うよ。『PUNIO を解散させない』。やめないためにルールを作って書類を交わすのはいいと思う。

星野:今はそれが不安ですね。

加藤:不安と言えば不安かもしれないけれど、激動の20代で価値観とか人生が変わらない人の方がマイノリティだと思うから、「いつか別れるだろう」ということをポジティブにとらえられればいいんじゃないの? 別れとか、解散とか、違う道を選ぶってことを「ネガティブ」にとらえないための建築が必要というか、「風が吹いて倒れてもすぐ直せるような構造」「もともと倒れてもいいようにできてる」とか、そういう設計の仕方が大事な気がするよね。高知の四万十川に「沈下橋」って言う、水の量が増えると沈む橋があるんだけどさ、そういう柔軟な設計というか、そういう状況になっても大丈夫なチームを作るのは大事かもね。

星野:なるほど。

加藤:悲しいし寂しい思いはするかもだけど、きっとそういう瞬間は訪れるから、今のうちにそうなった時のことは考えておくことは大事だと思うよ。別れの時は拍手で!とかそういうルールだと粋だね。

星野くんの希望


加藤:ネガティブな話ばかりだとあれなんで、星野くんというか PUNIO の今後の展望や希望について聞こうかな。

星野:PUNIO の希望は、「いろいろな人に出会える」ことですかね。僕の興味や関心でつながった人だけではなく、大也と蓮の関係性の中でつながった人たちもいるので、チームでやってるというか「僕ら3人でやってる強み」を感じられることが希望ですかね。

加藤:PUNIO の看板があって、PUNIO っていう場所だからこと会える人には可能性を感じられるね。

星野:そうなんです。作家さんもそうですし、来てくれるお客さんにしてもそうなんですが、普通に生きてたら会えない人たちや、話す機会のなかった人とも話せるのは人生にとって大きいことですね。3人でやっている PUNIO という場所がひとつの個体としてアイデンティティを持ちはじめているように思うんです。

加藤:ほぅ。

星野:そのアイデンティティのせいでややこしくなったりする時もあるんですけど、同時に「どんな未来に連れてってくれるんだろう」という一種の希望みたいなところもありますね。

加藤:じゃあ最後に、星野くんから今週の1曲を選んでもらおうかな?

星野:了解しました。それでは聞いてください。くるりで「ハイウェイ」。

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