【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ⑳ DELIGHTS PLEASURE 『DELIGHTS PLEASURE feat. CHIRO #3 aynoSander』(東京都杉並区)
今日 COLLECTIVE に遊びに来てくれた参加者のひとりが、たくさん並ぶほかの人たちの ZINE を前に、同じ ZINE でも、こんなにいろんなジャンルや形、切り口があるんだって驚いてた。大型書店に流通することのない、手作りに近い感覚の『作品』だからこそだなと本当に思う。
他の日に来てた参加者のひとりは、「もっと好き勝手やってよかったんですね」と、悔しそうに笑ってた。真面目に作りすぎたという。ふざけている=自由なわけじゃあないけれど、自分の中の「好き」とか「作りたい」を、俗的なフォーマットに乗せてしまうのはモッタイナイ!なんてぼくなんかは思ってしまう。次の ZINE のヒントがないかと探しに来る人もいる。キュレーションが入ってないので、うっかり事故みたいな作品に出会ってしまう(これ売れるんだって思うのが売れたりする)。オサレブースを品定めして歩くような真似はせず、とにかくあれも好きこれも好き、買わないけど読みたい、吸収したい。そうやって楽しんでもらえると本望だなって思う。まさに『マーケット』ではなく『エキシビジョン』。1週経て、ぼくらがやりたいのは流行りの ZINE MARKET ではないんだということが明確化されたのです。
“この時代に、何があって、その時どんな日常で、何を感じてたのか”
どんなことでもいい、何か動き出しさえすれば「何かが浮かび上がってくるかもしれない」。そんな可能性をたくさん秘めているのが ZINE だ。文章が書くのが好きならまず、今日の日記を書いてみればいいし、好きな映画や本のレビューを書いてみてもいい。過去の恋人の好きなところ、嫌いなところを1人1人ピックアップしたっていい。絵が得意ながら、部屋の窓の向こうを描いてみればいい、昨日食べたカレーを描いてみてもいい、干支を書けば12Pは稼げるし、描くのがなくなったら右手で左手を描けばいい。文も絵も苦手ならネットでとにかく画像やテキストをコピペしてみるといい。なにもできないと嘆くよりはマシだから。とにかく、ZINE を作るのにそんなに偉そうな理由はいらない。やらずにはいられない方が大事。なんもできないかもしれないけれど、まず動いてみる。
今回紹介する ZINE『DELIGHTS PLEASURE feat. CHIRO #3 aynoSander』は、MUSIC + VJ + ZINE といった構成。DVD がついてくるあたりが00年代アンダーグラウンドシーンを思い出させる。
当時ぼくら、ステッカー、カセット、VHS、MD、バッヂ、お菓子、商品券、図書カード、生ハム、チ○毛 etc… ZINE につけられるものはだいたいつけてきた、という世代だ。あの頃の僕らは赤字という意味があまりよくわかってなかった。旅行に行ったらお金がなくなるのと、ZINE を作るとお金がなくなるはイコールだった。
サイケデリックだけれどあたたかみのある映像に、うっかりトリップしてしまいそうな楽曲。あまり作者は多くを語っていないけれど、おそらくコロナ禍で大変な状況にあるライブハウスのために、自分たちができることは何かないかと考え、ライブハウスを巻き込んでつくった作品。それに1冊の ZINE がついていて、コロナ禍における、自分の、定点観測的な日記が綴られている。映像がサイケなだけに、妊娠している妻と猫との暮らしを綴った日記が生々しすぎて、若干心が不安定になるが、むさぼるように読んでしまった。時々こういう日記に出会う。その人が誰だろうと、いい日記と悪い日記がある。どれだけ世界がクソでも、日記は日記なんだと思った。ただたんたんと、ひたすら、歩いていくしかないんだな。
友達とクラブでオールして、朝マック買って帰って、恋人の寝顔をみながかじる。そんな些細な日常に溢れる、36.7℃ くらいの愛のようなものが、ぎっしりと詰まって見えたんだが、果たしてそれは俺だけか。
レビュー by 加藤 淳也(PARK GALLERY)
作家名:DELIGHTS PLEASURE / でらいつ ぶれじゃあ
KiuMiyazaki guitar , words
quⒶng duc Ⓐsylum , プラナリア , SPANISHFLY , 東京荒野
nⒶotorⒶdⒶms VJ , words
quⒶng duc Ⓐsylum , La cosmos , TRASHBREEDSTRASH
CHIRO ritual set , words
photographer , DJ
https://profile.ameba.jp/ameba/kiumiyazaki
【 街のオススメ 】
銀河系・ゴル街・ドラマがある