まあ、その、いろいろ #106 | 仕事術 (かとう)
PARK GALLERY でクリエイターやアーティスト、アート好きのお客さん、そしてまったくアートに興味がないけど集まってくれる友人たちと交流する中で、日々感じていることが、どこかの誰かの役に立つような気がしてはじめた、PARK GALLERY 公式ポッドキャスト「ラジオ耕耕」。
みんなで耕すようにはじめたこのラジオも、少しずつリスナーが増えてきてうれしい反面、もっと反応あってもいいよなっていうくらいがんばってます。毎週、毎週。時々心が折れそう。でも巡り巡って自分のためになるんじゃないかとも思ってます。
最近、「役に立つ」と言ってもらえてうれしいのがクリエイター・アーティスト向けの話。特に写真家やイラストレーターに向けた話なんだけれど、30分という枠ではなかなか伝えられないので、補足として SNS で発信しています。結構時間をかけて大事なことを書いたつもりなんですが、あんまり反応がなくて悔しいので、こちらにも載せておきます。ぜひ読んでみてください。
以下、この日記はなにがあっても10分終わらせないといけないので、コピペです。
今週のラジオ耕耕でも話していたクリエイターへの仕事の受発注に関する話。少しだけ具体例を紹介します(聞いてから読むとさらに理解が深まります)。
例えばぼくが編集・ディレクションを担当しているこの案件。
クライアントは東京新聞さん。広告の企画・制作を行う KANZAN さんからのオファー。学生向けに『電子版』を PR するためのメディアの制作がミッションで 、最終的に『STAND UP STUDENTS』という学生が社会と向き合うための『声』を発信するウェブマガジンを立ち上げ、連載を続けています。
最新の記事は学生ライターによるエッセイ STUDENT NOTE。
多数の応募の中から審査で選ばれた現役の大学生の山口直哉さんの寄稿に、イラストレーター の SaBo さんが挿絵を3カット描くというもの。
次からが原稿を受けて SaBo さんに仕事を相談するまでの流れです。
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まず山口さんの初稿があがってきたタイミングで、その原稿の属性をキーワードであげていきます。今回の場合、
中でも男性が生理をテーマにするという強烈なインパクトをどう可視化するかに重点を置きます。そうなると、
この3つくらいに迫られます。東京新聞という伝統のある新聞社のイメージも考えると ① にしがち。けれど今回は打ち合わせで山口さんにもお会いしていて、彼の聡明でポップな印象がどうしても頭から離れずに「ポップにしたい」というイメージがふくらんでいきました。ここでまず
「ポップな絵のひと」
に1度絞られます。その次にぼくの場合「生理ちゃん」っていうキャラクターがいたなと思い出します。
キャラクターっぽくなっていると「生理」というテーマでもスッと入ってくるんだなという事例ですね。そこに少しヒントを見出して、候補は
「ポップなキャラクターを描けるひと」
となります。そうなるとかなり絞られてきます。しかもジェンダーを感じさせたくないので、できるだけボーダーレスな表現に力を入れているひとを探すことになります。
ここで、ラジオでも話した「思い出す」作業がはじまります。
・Instagram のフォロワー
・過去の展示作家
・自分の好きな作家
今回の場合はすぐに SaBo さん!となりました。というのも SaBo さんの作品のステートメントが「性別・国籍・人種・年齢を超えた、万人にとっての親愛なる隣人たちを描く」で、それが強く残っていたんですよね。まさに、山口さんが伝えたいのは、こうした隣人たちへの思いやりなんだろうなと合致したんですよね。
ステートメントやテクストで創作の「姿勢」を発表することの大切さ、ですよね。「私はこういうことを描きたい作家なのだ」と言霊にすると、それをキャッチしてくれるひとがいるという例でもあると思います。
その後、仕事の内容、スケジュール、予算、そしてなぜ SaBo さんにお願いしたいのかを伝え、受注してもらえるかをメールで確認。特にディレクションをするわけでもなく、原稿を渡して、思ったままを描いてほしいというのが STUDENT NOTE のぼくの頼み方。それは学生とイラストレーターへの敬意という意味でも(ちなみに原稿も大きくは修正しないという編集方針)。
もう19人のイラストレーターさんが関わってくれていますが、下書きで修正指示したりリクエストを強く出したりというのはないかなと思います(あれ、仕事してない説?🙇)。何より SNS でたくさんの絵を見てて「大丈夫だろ」という思いがあります。
結果としてイメージを裕に超える素晴らしいイラストレーションがあがってきました。
もちろんクライアントも大満足。特に山口さん自身が自分の好きな絵だと言ってくれて、宣伝でも「自分の文章はいいからこのかわいらしい子たちを見て!」と言ってくれたほど。
正直そんなに予算はなくて潤沢なギャラを支払ってあげられていない感じは否めないのですが、みんなが幸せになるような仕事になったなという自負はあります。
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どうでしょうか。仕事の発注の流れ。
大事なポイントとしては、
というわけで、ちょっとでも誰かの参考になれば幸いです。少しでもみなさんの役に立てばという思いです。
長文失礼しました。
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まあ、その、いろいろ。
泣いても笑っても10分。
PARK GALLERY
加藤淳也
https://www.instagram.com/junyakato_parkgallery/
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