汽水域 #09 | 2024.9.23 午後 3:09 ー 阿部朋未
今井さん、そちらの暑さはいかがですか?
こちらは半袖では朝晩と少し肌寒くなって、ようやく秋めいてきた感じがしています。季節の変わり目、なんとか無事に生き抜きたいところです。
日々、物事が重なる時はこれでもかっていうくらい重なりがちですよね。思わず「助けてくれ」って言いたくなるほどに。なんともない時には何かの気づきのタイミングだと頭では理解できるけれど、あまりにしんどいとそれどころじゃなくなって、そんな時に思考を巡らせる体力や気力の必要性を痛いほどに実感します。でも、ワンワン泣く時も必要だとも思います。時には無理することもあるかもしれませんが、中途半端にごまかしていたら余計にエネルギーを擦り減らしてしまうし、心まで摩耗してしまう気もするので。教訓やら気づきは一旦置いておいて、無視せずに、自分で自分の心に寄り添うためにも泣くことは今井さんにとって必要なことだったのではないでしょうか。
誰だってそうかもしれないけれど、私はある程度道筋が見えていないと怖くてたまらなくなるタイプです。なので、「流れに身を任せる」ことが苦手だったりします。そっちの方が上手くいくとは頭ではわかっているのですが、なんだかついつい焦っちゃって。「思いがけない方向に行ったらどうしよう」の “思いがけない方向“ への恐怖心が、昔はより強かった気がしています。それ以上に「このまま何も起きなかったらどうしよう」の恐怖心の方が今は圧倒的に強いけれど。しかし、当時に比べて少しだけ「なるようになる」と柔軟に思えるようになりました。もちろん何もせずに来るべきタイミングを待っていてはあまりよろしくないとは思いますが、今井さんの言うように日々頭の中を整理することを怠っていなければ、「その時」が来た時に初めの一歩を踏み出しやすいとも思うんです。そう考えると、私は焦りや恐怖心から流れに逆らおうと必要以上にエネルギーを消費してきたのかもしれません。
地元のことも、祖母のことも、今までこんなにも深くは向き合ってきませんでした。いつかは向き合わなければならないと頭では思っていたけれど、多分、自分の痛くて突かれたくない部分と向き合うことと同義であるから、なあなあにして無意識のうちに向き合うことを避け続けてきたのかもしれません。実際考えるだけで胃が痛いし、しんどいし。それでも、この二人展がそれらに深く向き合うきっかけでありタイミングだったのかなと思います。なにより、今井さんとの対話を通して様々な気づきがあり、さらに自分と向き合っている感覚もしています。今井さんのことを見ているようで、実際には自分を見ていたなんて申し訳ない気持ちでいっぱいですが⋯。向き合うきっかけをくださって感謝しています。唐突ですが、本当にありがとうございます。
はじめにお便りをくださった時に、こんなにも目に見えるものを頼りにしていた自分の心許なさに今井さんが「誰かハグしてくれ!頼む!と思ってしまいます」と綴っていたことが強く印象に残っています。距離的にも、物理的にも、今すぐにハグはできないけれど、微力ではありますがこうやって言葉や写真で心を寄せることならできると思っています。とはいえまだ直接ちゃんとお会いしてもいないし、自己満足にも綺麗事にも聞こえるのは承知の上ですが、ここまで深い話ができた今井さんのことをもはや他人だとも思えないし。だから、ハグの代わりとして、今井さんの日々が良い方向へ向かうようにささやかながら祈っています。
そういえば、先日無事に旦那さんに写真をお渡しすることができました。「良い写真だね」とよろこんでいただいて安心しました。旦那さんと写真の中で幸せそうに笑う奥さんに、これからも会いに行こうと思います。
阿部朋未
阿部朋未 × 今井さつき
写真展『汽水域』開催
2024年10月23日(水)~ 11月3日(日)