青展参加作家さんの紹介 ⑧渡部康成さんのこと
8人のアーティストによるグループ展『青展』。告知されて設営されるまでどんなアーティストと自分の作品がどう並ぶのかわからないのですが、その出会いも醍醐味かなと思います。もちろんぼくも、ある程度は事前のコミュニケーションでどんな作品が届くのか、理解はしつつも、『作品(実物)』が届いてはじめて、サイズ感やまとっている空気が伝わってくるし、それを並べてはじめて『青展』というものを空間につくりはじめます。事前に図面にレイアウトするというようなことは一切していないので、ライブ感覚で、光や空気を吸い込みながら飾っていきます。で、これは設営の度にいつも思うし、いつも話すと「まさか」と思われるんですが、作品というか壁というか、が、「ここここー」って話しかけてくるんですよね。あそこに座りたいって。だからいつも悩まないし、設営もすぐだし、なんというかパズルみたいな作業なんです。
だから、というわけでもないのですが、比較的どんな作品が来ても、パークらしいという感じになっているかと思います。
さて、青展、最後に紹介するのは(あいうえお順でごめんなさい)、本職がモーショングラフィッカーという異色の肩書の 渡部 康成 さんです。応募があった時にはまだ本人が公開している作品数も少なく、高度なデジタル技術によるモーショングラフィック作品という感じで『公園』を意味するパークに合うかなと思ったんだけれど、1つ1つの作品の線、世界観の作り方、色使い、これはタダモノじゃあないと思い、まずは会ってみることに。話を聞いてみると、ずっとモーショングラフィックを仕事として作ってきたけれど、1人の作家として、イラストレーター、グラフィックアーティストの枠で表現してみたくなったとのこと。なので、まさにこの青展がデビューという感じ。
ツールが 3DCG なので、空間に絵を描いている感じに近いのかな。360度、いまにも動き出しそうな抽象的なオブジェクトはただその単体だと硬い印象を受けるけれど、リソグラフで出力することによって、点描のような表現になってあたたかみがでてる。このニュアンスは会場じゃないとわからないので、ぜひ、気になったひとは足を運んでみてほしいし、単純にグラフィックとして気に入ったひとは、リソグラフ作品は遠隔でも販売可能なので、購入してでも、その目で確かめてみてほしい。きっと好きになってくれるはず。
タイトルは『Blue Structure(青の構造体)』、モチーフに特に意味や具体は持たせていないただの機構。意味がないようで意味があるというか。見る側が楽しめるし、だんだん眺めていると空中に浮かんだ立体のグラフィティのようにも見えてくる。スケートカルチャーが好きだっていうのもうなづける。グラフィティという行為自体がアートに昇華されるように、渡部さんによる 3DCG とリソグラフの表現のこれからに期待。まだはじまったばかり。これからの進化がたのしみ。エルメス風のスカーフ楽しみにしてます。
彼のモーション作品はウェブやインスタグラムで見ることができます。ぜひチェックしてみてください。
あー今日で終わってしまうの。さみしいな。
いつもそう。
PARK GALLERY 加藤 淳也
渡部 康成
Tokyo, Illustration / animation / motion graphics
https://www.instagram.com/yasunari_watabe/