見出し画像

猫背で小声 | 第15話 | 笑い溺れる


『女子高生』

共学でも女子高生。
楽しそうですよね。
流行の発信してますね。
足寒そうですね。

-----

『女子高生』という言葉って後ろ向きな感情がないですよね。若さしかないから。青々として、時に黒々とした若さを持ちながら、世間に出ていっても折れない心の強さを兼ね備えている。その姿にうらやましさも感じます。

「ああ、女子高生になりたいな。」

-----

ステイホームで出歩くことが減り、足だけが女子高生みたいに細くなった作者より


さて、

31歳で迎えた年の瀬は「アルバイトをしている」という高揚感に包まれていました。勤務先は印刷会社。年末までの期間限定アルバイト。住んでいる所からも近く、土地勘のある場所でもありました。仕事内容は求人の際に聞いていた『年賀状印刷業務』とは違い、『年賀状の申込書の内容確認』が主でした。その業務は黙々とでき、とても自分に合っていました。

ようやく出会えた<自分の性格に合った業務>にさらにご褒美がついてきたのか、その印刷会社の社員でチームリーダーのサイトウさんという人がとてもおもしろかったのです。

なにがおもしろいのかと言われるとうまく表現できませんが、サイトウさんが発しする言葉の全てがおもしろかったんです。サイトウさんはぼくにとって『ツボ』で、笑い袋のように笑いが止まらなくなってしまったんです。

ホント、サイトウさんの発する言葉はおもしろいというより『周りを楽しくする気持ち』や『和やかにさせる』というサービス精神がナチュラルに出ていたのだと感じます。そしてある意味厄介なのは、サイトウさん自身は自分のことをおもしろいとは全く思っていないこと。つまりほぼ丸腰でおもしろいという R-1 チャンピオンのような人だったんです。

今まで仕事に就くたびに絶望し「この先、希望が持てんわー」と感じていたので、サイトウさんとの出逢いは、ぼくに覆い被さった絶望だらけの人生を変えてくれたと、心の底から思います。

ふと思うのですが、年末のアルバイトを探していた時、当初希望していたデパートの担当者の電話に怖気ついて自ら電話を切ったことでサイトウさんの印刷会社で働くことになり、サイトウさんとの縁が生まれました。あの時、電話にビビらず、切らずにデパートでアルバイトをしていたら、今のような楽しい日々は迎えられていなかったと思います。


ホント縁は不思議ですね。
本人の意図しない中で、縁はぐーるぐると回っているようで。

少し話はそれましたがサイトウさんは釣り好きで、週8回は釣りに行くいわゆる『釣りバカ』という所も、ぼくは大好きでした。だんだん『あんな人になりたいな』と思いはじめ、『職場で仲間と話すこと』にハードルの高さを感じていたのですが、自分を変えたいと思い、徐々に職場でも話し出すようになりました。

職場はパートのおばちゃんばかりでしたが、おばちゃんからも「マナブくん、カワイイわね〜」と言われ、今まで悩んできた人生の『生きづらさ』というものを少しづつ忘れていきました。

画像2




「サイトウさんみたいになるにはどうしたらいいか?」
「サイトウさんみたいに楽しみ、楽しませる人になるにはどうしたらいいか?」


考えてみたところ「思ったことを口に出している」ということに気づきました。サイトウさんは思ったことを口に出し、周りを笑わせていました。「腹へった」とか「うんこしてー」とか。

ぼくはといえば、思ったことを一旦頭の中で整理し、言葉に出さずに消化してしまうという悪い癖がありました。言葉にも鮮度があって、思ったことをすぐ吐き出さないと「おもしろみがなくなる」というのがサイトウさんからの学びでした。

芸術でも頭に浮かんだことをすぐ実行する、ということが成功している作品がよくあります。もしかしたら自分の言葉も芸術作品で、努力次第ですが、自分自身だって芸術作品になるんじゃないかと少し思います。

『笑い』と『鮮度』

NSC(よしもと)で学ぶようなことを、地元のいち中小企業で学んでしまいました。

「サイトウ師匠、勉強させていただきます。」

そんなことはもちろん言わないまま、サイトウさんとのアルバイト生活は終了しました、

冬なのにサマーズ !!

温かい冬を過ごしたのです。
おわらい、おわらい。




画像1

近藤 学 |  MANABU KONDO
1980年生まれ。会社員。
キャッチコピーコンペ「宣伝会議賞」2次審査通過者。
オトナシクモノシズカ だが頭の中で考えていることは雄弁である。
雄弁、多弁、早弁、こんな人になりたい。
https://twitter.com/manyabuchan00
👇 近藤さんへの質問や応援メッセージなども受付中です!近藤さんがなんでも答えてくれます!気軽にどうぞ!
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdPNjBL64hkKw-GLX_pynk-EoKX8-I6dX5awcOZFy6dRUGVtA/viewform


いいなと思ったら応援しよう!

縁側 by PARK GALLERY|オンラインマガジン
🙋‍♂️ 記事がおもしろかったらぜひサポート機能を。お気に入りの雑誌や漫画を買う感覚で、100円から作者へ寄付することができます 💁‍♀️