issue 26 「大人になったテディベアと大人になりきれない私」 by ivy
今年もやってきた。師走、年の瀬、クリスマス!
クリスマスはやっぱりアメトラが似合うのよ。チェック柄やウール、革靴、古めかしくて可愛らしい服に身を包んで、一番テンションがあがるのはやっぱりクリスマス。
毎年、絶対クリスマスにしか着られないような派手なニットやウールパンツを買ってしまうけれど、好きなものは変わらないから仕方ない。
そういえば、ワークウェアやブレザー、ボタンダウン、チェックトラウザー、昔ながらの服が大好きな私だけど(" ivy" の由来でもある)、なんでこういうものが好きになったかを考えたときに、幼い頃のクリスマスプレゼントが浮かんできた。
誰が買ってくれたかも忘れた、3歳の頃貰ったのが『ポロベア』だった。『ポロラルフローレン』が出しているテディベア。全身、ラルフのコーデでバチッとキメている、やけにモフッとしたあいつ。
決して欲しいわけではなかったが、やがて彼がいないと眠れなくなるくらい、よく遊んだ。次の年まで、遊びに行くときもリュックサックに入れて連れ回していたっけ。
親もそんな私にはちょっと派手なビーンの赤いフリースを着せたり、グリーンのラガーシャツを着せたり。いつもより素敵な場所へ行くときの服装は、ポロベアとシミラールックになっていた。
気がついたら、楽しい思い出は全部、ポロベアと共に。今も昔のアルバムを見たら、写ルンですに向かって微笑む、在りし日の私とあいつが映っている。
とっくにその存在を忘れていたこの頃、よく行く服屋で輸入のポロベアを扱っていた。オーナーのちょっとした遊び心みたいだけど、改めて並んでいる姿を見たら、人間以上にニクい着こなしをしていて、愛くるしい。
明らかな衝動買いだし、なかなか値が張るんだけど、買ってしまったんだ。寒い時期にあのモフモフがやけに魅力的に見えたのかもしれない。
さて、帰宅し、居所悪そうに私の部屋で、棚に鎮座するめかしこんだ熊。眺めていると、なんだか私と同い年くらいに見えてきた。幼い頃は、それまた同い年と思っていたけれど。人間ならヒゲでもはやしているのかな、とか。
20代半ばにしてすっかり老け込み、芸人のマツモトクラブ(45)に似ているといわれる私だが、久方ぶりの再会を果たした友人、いや「友熊」も大人になっていたのか。
せっかくだから、酒でも一緒に呑みたくなってくる。クリスマスソングでも聴きながら、シナモンとリンゴの香りがする、ホットワインなんかいいかもね。
ivy(アイビー)
会社員で物書き、サブカルクソメガネ。
自己満 ZINE 製作や某 WEB メディアでのライターとしても活動。
創り手と語り手、受け手の壁をなくし、ご近所付き合いのように交流するイベント「NEIGHBORS」主催。
日々出会ったヒト・モノ・コトが持つ意味やその物語を勝手に紐解いて、タラタラと書いています。日常の中の非日常、私にとっての非常識が常識の世界、そんな出会いが溢れる毎日に、乾杯ッ!
https://www.instagram.com/ivy.bayside
イラスト:あんずひつじ
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