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ON THE WAY TO PARK #016 『“物作り” の街に住んだなら』 (革と手 御徒町店)
物作りの街。東京の東側全体がやんわりとそう形容されることは多い。幼い頃からこの地域で生まれ育った身からすると、実際に何かを作っている仕事の人が身の回りに当たり前にいる。これは、結構珍しいことだと後から気づく。
とはいえ、生活の中でこのことを意識するようになったのは割と最近のこと。家のそばに職人の店があるありがたみを痛感した。
スニーカーより革靴が好きで、履く比率でいえば6、7割方革靴を履いている。手入れさえすればスニーカーでは考えられないくらい長期間履けることもあり、学生時代に買った革靴は全てまだ現役。とはいえ、ソールはすり減ってしまうし、定期的に修理は必要だ。
この前、数ある中でもお気に入りのスウェードブーツにガタがきたとき、修理をお願いしたのが御徒町にある『革と手』。ビブラムとカンペールのソールを揃え、店内には修理を待つかなり手入れの行き届いた革靴が並ぶ。間違いなく、革靴好きに愛されている店。
私が修理を依頼した靴はソールとアッパーが縫い付けではなく接着型で、古いデッドストックだったこともあり糊が劣化していたようだ。ソールもかなりすり減っていたこともあり、ソールをすべて交換することになったが、ここでの提案がまず素晴らしい。
全体のデザイン、靴の成り立ち、皮との相性、耐久性や歩きやすさ等、情緒的な話と実用的な面を織り交ぜてベストな仕上がりに導いていく。作業中のデニムエプロンのまま、寡黙な職人さんが工房に立ち、丁寧にこちらの質問に答えてくれた。
家から歩いて5分ほど。こんな近くにあるにしてはこれ以上ない選択肢だ。これから履き続ける限り、靴の修理はすべてここに依頼しようと思う。
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革と手
〒110-0005 東京都台東区上野3丁目13−10
イラスト:あんずひつじ
ivy(アイビー)
東京・外神田を拠点に活動。編集・ライター。『ANTENNA』の編集部に在籍する他、カルチャー系の媒体を中心に執筆を手掛ける。あまり役に立たない本、後ろ向きな音楽、胡散臭いメガネ、ジジ臭い服、だらしない酒、意味のなさそうな旅、苦い珈琲を愛する。旅の目的地は、何もないけれど何かが起きる場所。
https://www.instagram.com/ivy.bayside
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