ワクワクとソワソワ #5 「キャンバスの中の光景」 ー 織田知里
いよいよ4月12日から PARK GALLERY での個展「光景」が始まる。
この個展のお話をいただいた時に、私はどんな絵を描きたくて、どんな絵を見せたいのかと考えてみた。テーマを絞った方が見やすいのか、ストーリー性があった方が楽しいのか、統一感を出した方が美しいのか … など、ぼんやりとした方向性を考えていたが、今自分の見せたいものは、とにかく描きたいものを詰め込んだ一枚のキャンバスだ。という答えが出た。方向性も何もない …。でもそれが今回の私の中での個展の軸となった。
キャンバスを注文して、とりあえず何も決めず一枚描いてみよう。というところから個展に向けての制作が始まった。街の風景や公園の風景など、その時に描きたいと思ったものを数枚描いたところで、展示する絵のモチーフは風景にしようと決めたが、それ以外の細かいことは何も決めなかった。というか決めないようにした。一枚のキャンバスに詰め込んだものを見てほしいという思いが一番にあったからだ。
だから、普段ならある程度の枚数の絵が仕上がると、一旦その絵を並べて全体のバランスを見ながら「もう少しこんな色味の絵も描こう」「この構図が多いから別の構図の絵も描こう」みたいな感じでバランスを優先させた絵を描いたりもするのだが、そんなこともしないようにした。色も、モチーフとなる風景も、その時に描きたい!と思った感情そのままをキャンバスにぶつけた感じだ。
海外や日本の風景、田舎、都会、人がおしゃべりしているところ、散歩しているところ、そして印象的に映った光や影をたくさん描いた。最終的にこの絵を並べるとどんな空間ができるのか …
今からとても楽しみだ。
そんな一枚一枚のキャンバスに詰め込んだ「光景」を色んな方に見ていただきたい。そしてその「光景」を見てワクワクした気持ちになってくれれば、こんな嬉しいことはないと思う。
織田知里