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妄想絵日記の木川田みりです #13 | 7/1(月)

印鑑を何回か押した。
印鑑が練朱肉に浸るたびに、そのねっとりとした感触が手に伝わる。
 
私は学生時代、陸上部に所属していた。そして砂浜練習が大の苦手だった。もがいても前に進めない感覚は、まるで氷上で滑って足掻くペンギンのようだった。ピアノを弾くように無秩序に筋肉を動かし、徒労感だけが募る。透明な壁に押し返されるような無力さを感じた。
 
大人になった今、私は朱肉練習をしている。朱肉を囲んだ鉄製の枠の中で、必死に足を動かし続けるのだ。この身体が前進しているかはさておき …。

ー 木川田みり


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木川田みり(きかわだみり)
1996年生まれ。東京都在住。作家、イラストレーター、UIUX デザイナーとして活動中。2022年に初の個展『熱いお湯で洗濯したら縮んじゃった』を開催。近年は、触れ合った言葉から妄想を繰り広げた「妄想絵日記」を日々手にする「レシート」の裏に描き、instagram や X にて毎日更新している。
https://www.instagram.com/sarasaranokami
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