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よむラジオ耕耕 #12 『映画が好き⋯って言うとなんかさ⋯』

詳しくないと好きって言っちゃダメ !?


加藤:東京・末広町『パークギャラリー』からお送りしていますポッドキャストラジオ『耕耕』。今週はちょっとおもむきを変えて、みなさんから集めた『好き』について話してみたいと思います。これは先日の放送で話した「好きって何?」とつながっているんですが、『好き』の正体をみんなで耕していこうという特集です。そもそもきっかけは『好き』って言い切るのって難しいよねというところからはじまっています。多くの場合『好き』って言ってしまうと、そのことについての知識量とか、熟練度が求められる感じがするんだけど、でも「まあまあ、ただただ好きだから黙っとけよ!」「口出されたくないよ!」て思いますよね。

星野:詳しくないと好きって言っちゃだめ感ありますね。

加藤:なので、せめて耕耕では、好きなものを好きって大きな声で言っちゃいましょう! 好きなことをただ『好きだ!』って言えるのって精神衛生的にも健全だと思うんですよね。なので、みんなで健康になるためにも、できるだけみなさんの『好き』を紹介して、共有していきます。今後も募集するので、お便りでも SNS の DM でもいいので、教えてくださいね。では読んでいきましょう。まず1通目。

麻雀リーグことMリーグ(麻雀のチーム戦)がめちゃくちゃアツイので好きです。YouTube でも見られるのでぜひ!

Instagram より

星野:おお、麻雀にも公式戦があるんだ、意外です。

加藤:麻雀が好きってことは、賭け事が好きってこと⋯(笑)?

星野:そうとは限らないんじゃないですか(笑)?

加藤:賭けなきゃいい話しか(笑)。そうか、でも、やっぱめちゃくちゃアツイし好きですと言ってもらえるとうれしくなりますね。

星野:ですね! アツい気持ちで『好き!』と言えるもの、どしどし教えてほしいですね。

とにかく『芋』が好きです。

Instagram より

加藤:イモってあの芋 !?(笑)

星野:はい芋が好きらしいです(笑)。とにかく芋が好き。二重カギカッコついてますからね、芋に(笑) 。めっちゃ好きなんでしょうね。

加藤:でも芋もさあ、じゃがいも、さつまいも、里芋で全然違うよね。フライドポテトにしたりね、焼き芋にするでも違うし、いろいろあるからどの芋?ていう(笑)。

星野:確かに(笑)。でもとにかく『芋』なんじゃないですかね。

加藤:菊芋とかも好きなのかな。ぼくは苦手だな(笑)。

大切な人と語る時間。お酒なくてもOK。

Instagram より

星野:いいですね〜。素敵なひとだなあ。

加藤:これを1番に書けるということは本当に好きなんだろうね。

星野:このラジオもそうですけれど『語る』というのはいいですよね。気づくこともありますし。

僕は映画が好きです。おふたりの映画に関するエピソード聞きたいです。

Instagram より

加藤:映画が好き!いいね。でも映画が好きなひとって多いよね。でも映画が好きって言うと「1番好きな作品はなに?」とか聞かれるわけ。で、その時に答えたものがベタだったり、相手と全然趣味の合わないものだったりすると見下されたり、表情がくもる(笑)

星野:その作品が好きだって言ってんの恥ずかしくない?とか思われてそうです(笑)。

加藤:そうそう。それが内心で怖いからみんな言わなくなっているよね。映画が好きですって。

星野:あー確かにそうですね。

加藤:でも、履歴書の趣味の欄には「映画鑑賞」とか書いちゃうよね(笑)。これって、どのくらいのレベルで映画を見ている人を『映画好き』と認定するかをそろそろ明確にしたいですよね。⋯とまぁこの話は長くなりそうなので後で審議しましょう。

星野:そうしましょう。では次の方行きます。

計画が好き。

Instagram より

加藤:計画かぁ〜。なるほど。でもこれは、計画を立てるのが好きなのか、誰かが計画した何かを見るのが好きなのか⋯。もしくは『計画』というこの2文字が好きなのかも⋯?。

星野:もしかしたらカクカクした漢字が好きなのかも(笑)。建築的な雰囲気がありますもんね。加藤さんは計画立てる派ですか?

加藤:計画を立てないといけない立場にいることが多いけれど計画を立てること自体は好きじゃないね。計画を立てたひとに「これはもっとこうした方がいいんじゃない?」と指摘するのは好きです。

星野:なんかいじわる(笑)。

リソグラフ印刷

Instagram より

加藤:おーおそらくアーティストさんですね。確かにこれは好きなひとは好きですね。単純に質感が好きってひともいるだろうし。

星野:かっこいいですよねリソ。『職人の仕事』て感じがして。

加藤:そうだね。映画の話じゃないけれど、リソ好きってことは、リソグラフの印刷機まで持ってるってことだよね? って詰めてくるひとがいるってことだよね。持ってないなら好きだとは言えないよって考えるひとがこの世にはいる(笑)。

星野:細かい細かい(笑)。

加藤:詳しくなくても持っていなくても、好きなら好きでいいよね。ひとの好きのレベルを計るって不健康なことだから、やめさせよう。僕らのラジオではどんどん気軽に「好きを好き」って言っていっていこう。

星野:ですね。

「映画が好き」と言いたいふたり


加藤:というわけで、今回はお便りにもあった『映画』について耕してみましょうか。

星野:そうしましょう。

加藤:さっきも言ったけれど「映画が好き」って言い切るのはなかなか難しいと思うんだけれど、星野さんはどうですか? 映画好きって言える派ですか言えない派ですか?

星野:いやぁ⋯(笑)。この話の流れだとなかなか胸張って好きといいづらいですが⋯。逆に言いましょう。「好き」です(笑)。

加藤:なるほど、逆にね(笑)

星野:でも映画が好きっていうのはなかなか緊張しますよね。

加藤:「最近何見た?」って言われると、もうドギマギ。

星野:ドギマギしますよ。

加藤:で、最近見た映画は?

星野:えぇ⋯。最近見た映画はですね...。

加藤:ドギマギしてる(笑)。何もごまかさなくてもいいんだよ。どんな映画だろうとそれが星野くんなんだし。

星野:本当に正直に最近見た映画を言うと『アバウト・タイム 〜愛しい時間について〜』っていうタイムリープものの恋愛映画なんですけれど。それを観ました。

加藤:日本の映画?

星野:いや、海外の映画です。

加藤:(スマホで調べて)2013年の映画なんだ。

星野:そうですそうです。主人公がタイムリープの能力をもっていて、あるひとりの女性との恋をうまく行かせるために何度も時間を戻すっていう⋯。

加藤:なんかつまんなそうだな⋯。

星野:いや!ぼくの説明がヘタなだけでおもしろいんですって(笑)。でも『愛おしい時間について』って副題にもあるとおり、恋愛軸で話は進んでいくんですけれど『家族愛』や『兄弟愛』も描かれていて。それで、3年ぐらい前になるんですけれど、ぼく、当時好きだったひとがいて、そのひととその映画を途中まで見てたんですよ。で、次また見る時、全部観ようって約束して、でもそのひととは結局会わなくなっちゃったんですよね。でも、ずっといつか見ようと温めていたんですよね、その後のストーリーを。それで、なんの気無しに観たんですけれど、見終わったあとに、これ、最後まで2人で観たかったなぁと思いました。

加藤:タイムリープできたらなあってね。

星野:ほんとですよ(笑)。でも「好きなひとと映画を見る時間が好き」とか「映画を観ること自体が好きなひと」もいますよね。作品うんぬんよりも。感想を共有しあうのが好きなひともいますしね。

加藤:『ラブアクチュアリー』とか『ノッティングヒルの恋人』とかを手がけてる人気の脚本家の作品なんだね。ゴリゴリのロマンチストだ。

星野:わ、加藤さんって監督とか脚本家を調べるひとですか?

加藤:まあ、映画好きだからね(笑)。

星野:結局、映画好きなんですね(笑)。でも加藤さんは映画好きなんですか?

加藤:映画好きじゃ冗談だよ。『映画好き』って言えないなぁと思いながらずっと生きてきたんだよね。それはなぜかと言うと、まず「映画館に行かない」のよ。4年に1度、映画館に行けばいいかなぁと言う感じだから。

星野:なんで映画館に行かないんですか?

加藤:「みんなで見る」というのが性格的に無理なの。真っ暗闇で隣に知らないひとが座っているのも嫌だし、自分が思ってもないところで誰かが笑ったり泣いたりするのもいちいち気になるし。トイレに行きたくなる可能性とか考えると、全く集中できない⋯。だから映画館で映画を見ないって人が「映画が好き」って言っちゃダメでしょっていう思いがずっとあって。

星野:確かに。映画が好きなひとは「映画館で見るべき!」とか言いますしね。

加藤:となると新作を見ないのよ。レンタルか配信がはじまるタイミングで見てるから、その時にはもうトレンド外。映画が好きなひとは新作は決まって映画館だもんね。だから、「映画が好き」とはこの40年間、言ってきてないですね。ただし⋯なんだろう⋯逆に「好き」な気がするよ(笑)

星野:ドギマギしてますね(笑)

加藤:せめて『耕耕』では言わせてほしい! 映画めちゃくちゃ好きな方だと思う。見たらすごく日々の生活に影響受けるし、映画の世界の中に引きずり込まれちゃうタイプだから。映画を通じて社会問題についても考えちゃうし。あの映画のシナリオだったのか、自分の思い出だったのかごっちゃになるくらい映画の世界に入り込んでるかも知れなくて。映画好きすぎて、もはや思い出にしてしまう能力。

星野:すごいですね、それは。

加藤:あと真面目な話で言うと、子どもの頃、親が映画が好きだったということもあって、親の録りためた作品とか、おこづかいを注ぎ込んで借りてきたレンタルビデオとか、四六時中 VHS で映画を見ていたから、80〜90年代のメジャーな映画はだいたい知ってる。映画のいい時代。その時の記憶や感覚をベースに、最近の作品を見たりしてるから、ある程度、この映画はこれ系ね、この展開ねっていう、達観した嫌な見方もしてしまって。好きすぎて嫌いって思っていた時代もあったし、映画監督になれたらと思っていた時もあったくらいだから。今でも思っているけれど。

星野:その話、また詳しく聞きたいですね。

加藤:なんかね、シナリオが複雑なのはいいんだけれど、最近の映画って、きっとこうなるんじゃないかなと思いながら見ちゃうクセがあって、またそれが結構当たってたりとかするの⋯。ぼくだったらこうするっていうのが頭の中に結構あるから。数ある天才たちが映画を作っているだろうし、おこがましいんだけどね。でも、そうなると、外れたら外れたで、なんだこっちかよ、つまんねーなって思っちゃって。しかもそれ、声に出ちゃうんだよね。だからぼくと一緒に映画とかドラマ見てるひとは多分嫌だろうなと。ああ、次のシーンであのひと出てくると思うとか。

星野:言っちゃうんですね(笑)。

加藤:シナリオが読めちゃう。声に出ちゃう。だから、映画館は好きじゃない。

星野:それこそ全く展開が予想できない、『テネット』とか『インセプション』とか、クリストファー・ノーラン監督の作品とかはどうなんですか? さすがに予想は難しいような。

加藤:そうだね。あのくらい複雑なシナリオだとめちゃくちゃ楽しい。

星野:その物語の「運び」に目がいくんですね。

加藤:そうそう。あとさ、例えば『スターウォーズ』は見たことがないとか、『男はつらいよ』は見てないとか。そうなると割と一般的な映画好きとは違うかなと思ってしまう。

星野:脚本的なところで見てるっていううことなんですかね。

加藤:あとは役者かなー。へたな演技のひとの映画は見てられない。この役者の演技がいいよねとかいう基準で高校生の時からずっと見てきたから。例えば竹中直人にハマったら竹中直人の出ている作品を全部借りてくるとか。本木雅弘がすごく好きだったんだけど、もっくんの作品を全て借りるとかいうのを中学・高校生の時にやっていて。監督で作品を借りるというより、役者で借りてきたから、ちょっと好きの具合がねじ曲がっていたかも知れないなと思うね。

星野:そんな加藤さんが選ぶ、演技もよくて話も読めない作品を教えてほしいです。

加藤:せっかくだからね、1つ挙げようか。サブスクにあるかはわからないんだけれど、『Focus』という1996年公開の日本映画。監督の名前まではちょっとわからないんだけれど、主演が浅野忠信なのでわりかし探しやすいと思う。1時間ちょっとで終わる映画なんだけれど、体感としては30分くらい。

星野:すごいスピード感ありますね。おもしろそう。

加藤:ざっとあらすじを話すと、そもそも今みんなが知っててイメージする浅野忠信ではなくて、96年なのでデビューしてまもない感じ。しかも冴えない『無線オタク役』なんですよ。今で言うアキバのオタクみたいな。その無線オタクをレポーターが、どうせ気持ち悪い変態だと決めつけて嫌な感じで取材するんだよね。取材している最中に「駅のロッカーに拳銃があってどうのこうの」っていうやばい無線をキャッチしてしまって、それを見に行こうってところから話がはじまるの。で、あっという間に終わりまで。もうカメラ1台で、『カメラを止めるな』じゃないけど。

星野:ワンカットですか?

加藤:ワンカットってわけじゃなくて、映画のカメラマン自体がその番組のカメラマン役で、カメラマンが持っているカメラだけで話が進んでいくんだよね。なのでカメラマンが録画を停めるとカットされるし、再びまわしはじめると映画のシーンが変わる。めちゃくちゃおもしろいと思うよ。ちょっと暴力的なシーンとか、見るひとによっては不快になるシーンもあるから、あんまり過激なのが苦手なひと、バイオレンスが苦手なひとは見ない方がいいかも知れないけれど⋯せっかく1本挙げるならこれかな。

星野:おもしろそう! U-NEXT にはあるようです。

加藤:今回はシナリオと演技力で1本選んだけれど、ほんといろんな条件でおすすめの映画はたくさんあるので、よかったらパークギャラリーで、映画の話とかできたらうれしいですね。オススメもどんどん教えてほしい。

星野:いいですね。

加藤:映画の話めっちゃおもしろいな。実は「好き」だったのかもって(笑)。話が止まらない、あっという間っていうのも「好き」の条件だよね。

星野:確かに。聞いてて楽しかったです。「好き」を話すひとの話は。

加藤:引き続き、みなさんの好きな映画なんかもお便りで募集したいと思います!よろしく!

\ 今週の1曲 /
好きな映画はサントラも買ってしまうくらいには映画好きです。
というわけでオススメのサントラから1曲どうぞっ!
(かとう)


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