よむラジオ耕耕 #30 『ダサダサ男のギャラリー入門』
💁 こんなひとにオススメ:ギャラリーに入るのは緊張するというひと。ギャラリーの楽しみ方を知りたいひと。
より道の仕方がわからない(OPEN YOUR DOOR)
加藤:今週はふたつのお悩み相談にこたえていきます。
加藤:パークギャラリーを知らないひとのために話すと、うちの目の前には小学校があるので、店の前の道は通学路にもなっています。朝、目の前を小学生が通って夕方は帰っていきます。でも300人以上は通っているであろう小学生たちは絶対に入ってこない。不思議に思ってある日たまたまその学校に子どもを通わせていた知り合いの PTA のひとに聞いてみたら、小学生は原則『より道禁止』なんだって。なのでもしかしたら潜在的にアートに興味があるとか、この店なんだろうとか、思っている子はいると思うけれど、絶対的に渡っちゃダメなんです。
星野:なるほど。それはもったいないですね。
加藤:ここによくこの小学校の卒業生が遊びに来てくれるんだけど、「絶対(子どもたちは)行きたがってると思いますよ」と言ってる。自分たちの子どもの頃にあったらなんとしてでも行ってたかもって。駄菓子や漫画を置いたりして子どもも入ってきやすいように工夫してもよかったかもしれないね。そういえば一回だけ限界間近のトイレ借りに来た子がいたけど(笑)。超勇気のいる決断だったと思うよ。
星野:それいいですね(笑)。開けている場所だから目に入りますし。
加藤:子どもたちの間で変なウワサがたちそうだよね(笑)。「あそこ何屋だった?」みたいな会話がされてす。
星野:ぼくだったら気になって入っちゃうな(笑)。子どもたちも気になっていると思いますよ。
加藤:そうそう。昔はもっと「より道」にも寛容だったと思うけれど。ちなみに子どもの頃、そういうより道できるような場所はありましたか?
星野:ぼくらも「より道」禁止だったんですけど、小学校の時はそういうお店より外で遊ぶことに興味がありました。自然がある場所で、木や高いところが好きでした。中学生になると、近所に「だるまや」という商店があって、そこで悪そうな先輩たちが溜まってましたね。
加藤:そうか。より道禁止だったか⋯。ぼくも子どもの頃は田舎過ぎてギャラリーみたいなのはなかった気がするな。あったら入ったかな⋯怖いよね。でもひとつだけ子ども向けにやっていることがあって、パークギャラリーの外にはナオミ・エドモンドソンっていうロンドンの友人によるグラフィティが描かれているんだけど、そこには毎日ここを通る子どもに向けたメッセージが描かれています。『OPEN YOUR DOORS』。「あなたの心のドアを開けてね」というメッセージ。ギャラリーには入ることはないかもしれないけれど、あなたは、あなたなりに、アートの世界のドアを開けて、飛び込んでという願いを込めています。英語の意味がわからないって放っておくか、親に意味を尋ねたりしてみるかで、きっと人生の豊かさが変わっていくのではないかって思って。ぼくらが小中高のときは、こんなものすらなかった。だからこうして外に向けて「アート的なもの」を見せれているだけでも、いいのかなと思います。
星野:さすがに東京でもギャラリーはなかったですが、ぼくの小学校の通学路には『町田国際版画美術館』というのがあって、気軽に行ける距離にアートはありました。カラフルな場所ではないけれども。だから、パークみたいなカラフルな場所があったら気になっていたと思いますが、どうやって入ったらいいのかわからなかったと思います。
加藤:なるほど。入り方がわからないというのは確かに。パークにはパパやママが子どもを連れて休みの日に来るっていうのが理想だけどね。そこもいまいろいろと考え中なので、また話せるとよいなと思っています。ちなみに、三倍飯のバインミーが話してほしいって言っている「ローカルのアートカルチャースポット」についてはリスナーさんからレスポンスを集って、まとめていきたいですね。
ARTRIP はじまりました。徐々に募集していきます
確かめにくる気持ちで来て(ギャラリー入門)
星野:次のお便りです。
星野:ルックバックさん、ありがとうございます!まず、お便り送ってくれたこと、うれしいです!
加藤:確かにふとどこかのポッドキャストを聞いて、気になって、そこに「行く」ってけっこー難しいよね。SNS で見ている分には気持ちがいいけれど、自分の暮らしとは、ほど遠いような、派手さがあるというか⋯、でもラジオ聞いてくれているってことはぼくらの話には共感できる部分があると思ってくれたんだよね。かといって、ぼくも自分よりもオシャレだなと思う場所にはなかなか行けないタイプだから、ルックバックさんの気持ちもわかる。どうすればいいんだろう。
星野:まず、ぼくらとしては来てもらえたら絶対うれしいですよね。
加藤:うん、うれしい。そして『行くための理由』が必要だとすれば、SNS で事前に展示の内容を調べてもらって「この絵が見てみたい」とか、展示のテーマが気になるとか、確かめに来てもらう感じがいいのかな。実物で見ると作品って本当に印象が変わるので。
星野:それを知ってほしいですね。
加藤:会いに来てくれるのも、もちろんうれしいんですが⋯。会いに来られてもなんだか恥ずかしいというか緊張するからな(笑)。
星野:そうですね。自然にさりげなく。
加藤:多くのギャラリーは企画によっていろいろ表情が変わるので、自分がピンと来て「見たい!」と思ったらまず来てもらって。勇気がいるのはおそらく来てからの滞在時間だよね。どうしたらいいの?と。そればかりはマニュアルがないので、入ったあとはスタッフに身を委ねるしかないかな。うちはさらに常連が酒を飲んでいたりするからね(笑)。そこがよさでもあるんだけれど。
星野:確かに、すでにコミュニティができあがっていて入りづらい雰囲気を感じてしまう気持ち、わかります。
加藤:PUNIO も随分奥のマニアックなところにあるしね。
星野:そうですね。難しいですね⋯。
加藤:あとはファッションとかで「ダサい」と思ってるなら、そんなひとはたくさんいるから気にせずに来てほしい。みんながアートに詳しいかといえば、そんなことは全くなくて、急に「きみはこの絵についてどう考えるかね」とか、問われる場所ではないので安心してほしい。
星野: それこそパークの2階には本がたくさんあったり、ゆったりとくつろぎながらカルチャーを吸収できる場所だから、気軽にルックバックさんが「かっこいいな!」と思えるものを探しに来てほしいですね。『耕耕』を聞いてくれて、加藤さんの話が好きなら、きっとつながる部分もあると思います。
加藤:あと、ぼく以外のスタッフは「空気を読む」ことに長けているから、話しかけてほしくなかったらそういう雰囲気を出してくれれば、みんなムードをキャッチしてくれると思います。委ねていだいて大丈夫です。
PARK GALLERY と PUNIO
周辺のおすすめスポット
加藤:周辺のおすすめかぁ。パークギャラリーの場合はカルチャー的なお店が少ないので、飲食店情報が多くなってしまうのですが、ご飯を食べに来るついでにギャラリーくらいの感覚でもいいのかなと思ってます。ぼくはどこかのギャラリー行く時は必ずその近所のおいしいお店を調べて行くようにしています。軽く一杯ひっかけてから行くとほろ酔いで、アート鑑賞もたのしいというか。パークは近所に秋葉原、御茶ノ水、湯島などあるので、ぜひ。観光でいうと『神田明神』が近くにあって、本当に立派なので、『神田明神』でお参りして、おいしいご飯を食べて帰るというのもオススメです。
星野:PUNIO のまわりは、北千住の中でも飲み屋が集中している街とは反対側にあるので、少し落ち着いていて静かです。その中でひとつおすすめできるお店は「カルダモン食堂」というテイクアウト専門のカレー屋さんです。そこの「伝説のキーマカレー」というのがうまいんですよ。あと、カルダモンカレーというカレーもあったり、そこがめちゃくちゃおいしいです。テイクアウトしかやってないので、買ってきてもらって PUNIO の2階で食べてもらっていいので(笑)。
加藤:それすごいハードルだよね(笑)。まず PUNIO に行くのにも緊張するのに、カレー屋まで行って伝説のカレー買って、展示見る前に2階でカレー食べるなんて(笑)。そのメンタルもってるなら、もうすでにギャラリーに来れるよ(笑)。
星野:ハードル高いと感じる場合は、ぜひ河川敷にいきましょう(笑)。
加藤:でもまあ仲良くなってしまえば2階で食べるのも当たり前になっていくだろうしね、気軽にカレーが食べられるくらい仲良くなってください。
星野:あと銭湯が多いので、見たあとにのんびりお風呂に入って帰るのもいいですね。
加藤:ぼくだったら北千住まで行くならドヤ街(飲み屋街)で立ち飲み屋とかもつ焼き屋とかで呑むねー。すごいいいお店がいっぱいあるからね。聖地ですから。またきっと行きたい街になるはず。
星野:あ、あとひとつありました。『小柳』という、ひそかに話題になっているところ。店の外観に映画や展覧会のパンフレットがたくさん貼ってあって、入り口から中をのぞくとレコードがたくさんあって超長髪の白髪のおじさんがやってるんですよ。そこは普通にぼったくられるらしいけれど、マスターの気分次第で値段が決まるらしく、気に入られたら安く飲めるらしいんですよ(笑)。そこは気になってるけど行けてないですね。
加藤:じゃあルックバックさんと行きなよ(笑)。
星野:ルックバックさん、行きましょう(笑)!
おわり
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