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EVERYTHING FLOWS #26 by illustrator はるやまひろし

—— やっぱり面白い。愛とクレイジー、ワイルドなロックンロールの世界。

絵を描くことを音楽で言う『レコーディング』と称するイラストレーター・はるやまひろしによる、日々のドローイングイラストの記録(REC)を毎週紹介していきます。ライブハウスに貼りだされているチラシのようなイメージで、音楽やバンド、あらゆるサウンドからインスパイアされた、妄想爆発のアートワークが日々描かれていきます。音楽への愛が溢れるテキストと合わせてお楽しみください。


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2021.10.13(WED)
ARTIST - HEDWIG AND ANGRY INCH : ORIGINAL SOUND TRACK
ALBUM - ORIGIN OF LOVE

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HEDWIG AND ANGRY INCH
オフ・ブロードウェイで上演されたミュージカルと、その映画化作品で、スティーヴン・トラスクの音楽とジョン・キャメロン・ミッチェルの歌詞と世界観をもとに制作された同名映画のサウンドトラック。


映画には音楽を祝福していて、音楽に祝福されている映画がというのがある。その1つと言えるのがロックミュージカル映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(以下ヘドヴィグ)。

監督はジョン・キャメロン・ミッチェル。ヘドヴィグの映画をはじめて見たのは駅前に TSUTAYA があった頃。レンタルして観た。借りる前からド派手なビジュアルイメージが目立っていた。宣伝文句も、東西冷戦時代に生まれた主人公がロックシンガーを夢見て … 性転換手術に失敗してアメリカへ … とか、なかなか強烈。少し怖いもの観たさもありながらレンタルしたような気がする。

そして、ヘドヴィグの映画を見たらもっと強烈でインパクトが残る熱い映画だった。怖いもの見たさというところでは、逆に観賞後、元気が出て感動出来る映画でもあった。とある一連のシーンはとても印象深く覚えている。

何年か前に、『パーティーで女の子に話しかけるには』という、映画の予告をみた時に監督の名前を見かけた。

「あっ。ミッチェル監督。」「ヘドヴィグ熱いよな。もう一度観たいなぁ。」と思って、この度ヘドヴィグの DVD を久しぶりに観てみた。

やっぱり面白い。愛とクレイジー、ワイルドなロックンロールの世界。

サウンドトラック単独でも楽しめると思う。実をいうと昔はロックへのオマージュ的なあくまでも映画のサントラと思って聞いていた。
年月が経って聞き直してみるとバンド『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』としていいなと思った。

曲はメロディーは良いんだけど、ロックらしいロックという感じで、公開当時も時代の音楽と合っていなかった思う。でも、その社会や時代と合っていないロマンチックさや無謀さがロックンロールでチャーミング。映画の内容ともぴったりだ。ヘドヴィグの歌い手としての熱さがそうさせる。

ロックファンは細かい部分で楽しめたりもする。直接名前や写真がでているイギー・ポップ、ルー・リード、デヴィッド・ボウイ。ニコ、オノヨーコ…名前を聞くだけでテンションが上がる。あのシーン、あの場所は、あのロックスターに掛けているのかな?重要なキャスト、トミー・ノーシス(マイケル・ピット)はあのロックスターを寓話化しているのか?などなど。

肝心なのは、映画のストーリーや演技、そしてオリジナル音楽で、もちろん固有名詞を全く知らなくて楽しめる映画。

見返して観たからこそ感じたのは、映画の片腕とも言える作曲・音楽担当のスティーヴン・トラスクをはじめ、映画のキャストや製作陣の人たちが、ヘドウィグという設定や脚本のファンで惚れ込んで取り組んでいるのが伝わるような気がする。

そして、監督・原作脚本・主演を手掛けた、ジョン・キャメロン・ミッチェルのソウルフルな演技や歌の真摯さが、1つ1つのシーン、映画自体を別次元にもっていっているのに心を打たれるんだよね。



TRAILER - HEDWIG AND ANGRY INCH

性や愛、孤独、裏切り、存在意義などシリアスな問題も含んで、ちゃんと向き合いながらもストーリーと心意気で、ユーモアや泣き笑い、エンターテイメントとして仕立てているところが、この作品のチャーミングなところ。


SONG - ORIGIN OF LOVE(※映画のワンシーンです)

ロックミュージカル映画でもあるので、ライブシーン、MV などが沢山使用されていている。映画の中では一緒に歌えるカラオケのようなシーンもある。アニメーションもいい。ライブということではタイミングよく山本耕二さんがヘドヴィグを演じる舞台があったので観に行って面白かったな。まさにヘドヴィグのライブ版。



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はるやまひろし
静岡県生まれ、千葉県育ち。
好きな音楽のアートワークとTシャツに憧れてイラストレーターの活動をはじめる。シンガーソングライター気分で絵を日々レコーディング中。
https://www.instagram.com/hiroshi_haruyama

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