海と山と展 #01 長雪恵「いのちの静的な躍動感について」
こどもの頃、はじめてうさぎを抱いた時、腕の中で自分の予想しない動きをする動物の存在に『いのち』を感じた。おとなになって、ねこがほしいという彼女のために子ねこを飼って、まるで2人のこどものように育てた。2人のあいだにこどもが生まれた瞬間に、赤ん坊の眠る横で、そのねこは息を引き取った。泣くことはなく、動かなくなった猫を抱き、「動かない」というもう1つの『いのち』の存在を知った。仕方ないとか、ただそこにあるとか、そういった感覚で驚いた。だから「まるで生きてるようですね」、とか「躍動感がありますね」、と言いたくなる動物の絵は少し物足りない。かわいいというのはもちろん。こどもの頃に感じたうさぎに似てる。見ていて楽しいけれど、心は動かない。
会場入ってすぐ左手にある長雪恵さんの描く動物には2種類あって、この躍動感や存在感を感じるタイプの絵と、モノクロの写真みたいに時が止まって見える絵。どちらも素敵なんだけれど、後者に、力を感じる。ただそこにある、動かない(さっきまで動いていた)命の描写がそこにある気がして、胸を打つ。やけに生々しくて、ドキドキする。そこに動物の愛嬌なんかはなく(パンダでさえ!)、命の入れ物が描かれてるかのような。躍動感がある絵、ではなく、頭の中で命が躍動する絵、という感じ。この、見る人の想像力を補ってくるアートの力が、鑑賞の醍醐味だと改めて感じる。
この感じは実際に見てもらわないとわからないと思う。岡本太郎賞で、岡本敏子賞を受賞した経験のある実力派の作家さんの作品です。ぜひ、この機会に見てみてください。見る時、すこしだけ「いのち」のことを考えてみてもらえたらいいなあと思います。
PARK GALLERY presents
『 海と山と 』展
2020年2月12日(水)- 2020年3月1日(日)
@ PARK GALLERY(東京・末広町)
東京都千代田区外神田3-5-20
最寄駅:末広町駅・湯島駅・秋葉原駅・御茶ノ水駅(距離順)
13時 - 20時 / 入場無料 / 月火定休
http://park-tokyo.com
【 参加者一覧 】
長 雪恵 / オサユキエ
https://www.instagram.com/yukie.osa
カワイハルナ
https://www.instagram.com/haruna_kawai
河原 奈苗 / カワハラナナエ
https://www.instagram.com/nanaekawahara
菅 風子 / カンフウコ
https://www.instagram.com/fuko_kan
工藤 愁子 / クドウシュウコ
https://www.instagram.com/shk003
SANZOKU / サンゾク
http://instagram.com/sanzoku_shokki
ナカムラ ミサキ
https://www.instagram.com/msknkmr3
nagwang / ナグウォン
https://hugmesweetparadise.tumblr.com
藤本 将綱 / フジモトマサツナ
https://www.instagram.com/fujimoto_masatsuna
山田 将志 / ヤマダマサシ
https://yamadamasashi.jimdo.com
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