【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ㉓ ミトミルルイエ 『おまじないパーラー』(東京都渋谷区)
様々なジャンルの ZINE が集まる COLLECTIVE 。一概に ZINE と言っても細分化されたジャンル分けがあるんです。わかりやすいところでいうと PHOTO ZINE、日記系、自分の好きをまとめたアーカイブ系、ポエム系。音楽や映画、本を紹介するレビュー系などなど。『ガールズ・ジン』もまた ZINE のジャンルの1つかと言えます。Riot Grrrl(ライオット・ガール)ムーブメントを起点とする D.I.Y でパンクでフェミニズムなアプローチがルーツですが、日本だと Riot Grrrl 直系は Kathy ZINE、次に Twee Grrrls Club など。2010年あたりから女子のための女子による ZINE というような解釈で広まり、そのあたりから女の子でも ZINE 作っていいんだっていうムードが普及していったように思います(それまでは確かに女の子の ZINE ってあんまりなかった)。
今となっては『ガールズ・ジン』も死語かなと思うくらいジェンダーレスな世の中になってきてますが、キュートでポップでガーリーな ZINE というのは、まだまだたくさんあるし、COLLECTIVE にもたくさん集まってきています。ガールズな ZINE 好きですよ。
誰もが心の奥に持っている、懐かしくも力強い、
子どもの頃のようなプリミティブな気持ちを共有したい
今日紹介するのは、メキシコのサイケデリックでポップなビジュアルと、パフェのレシピをコラージュしたガーリーな1冊。
東京からエントリーしてくれたおまじない研究家ミトミルルイエさんによる ZINE『おまじないパーラー』。「おまじない」って言葉がゲシュタルト崩壊を起こしているので検索してみると『お呪い』。神仏その他不可思議なものの威力を借りて、災いや病気などを起こしたり、また除いたりする術。ひらがなにするだけでだいぶキュートだ。コラージュのネタになっているのは”おまじない”大国メキシコ。ディエゴ・リベラやフリーダ・カーロでイメージしているメキシコのヴィヴィッドな宗教観とはまた違ったファンタジー方向のモチーフは見ていて気持ちがいい。メキシコ行ったことないし、縁もないのだけれど、どこか懐かしいと感じさせるプリミティブな感覚がある。子どもの頃に見た悪い夢というか。かくれんぼで忍び込んだ教会のステンドグラスの宗教画というか。または趣味の悪いお金持ちの庭みたいな。
ミトミルルイエさんにとって、おまじない ≒ かわいい D.I.Y 宗教。宗教とは信じること、祈ること、許し合うこと、暮らしの中に取り入れること。『かわいい D.I.Y 宗教』っていうのは実にガールズ・ジン的だなと感じる。きっとよくなる、というポジティブなポエムが、まるでおまじないみたい。
さて、『おまじない』というインパクトの中に隠れてしまってますが、コラージュのセンス・スキル、緩急の付け方がとにかく抜群。メキシコの旅のルポみたいな要素もあってメキシコに急に行きたくなったり。ぜひ部屋を暗くして、お香でもたきながらめくってみてください。
レビュー by 加藤 淳也(PARK GALLERY)
作家名:ミトミルルイエ(東京都渋谷区)
おまじない≒かわいいDIY宗教、かわいいフェミニズムをテーマにダンボールや端切れで製作をしています。誰もが心の奥に持っている子供の頃のような懐かしくも力強い、プリミティブな気持ちを共有したいです。
https://www.instagram.com/rlyeachan
【 街の魅力 】
徒歩圏内に文化も自然もある。
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三富仁 / 凄腕編集者
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