#4 「テニスがすきだ!」 by 石橋瞭
テニスが好き。
やる方ではなく観戦。
コアなファンではないので、追って観ているというわけではないのだが、
テレビで放送されていることに気がつくと、時間を忘れて観てしまう。
多分、試合のテンポが良いから観やすいのだと思う。
途中からでも楽しめる。
何より音が良い。
しんと、静まりかえる中聞こえるのは、ラケットから放たれる心地いい打球音と選手のうなり声、そしてシューズとコートが擦れる音。テニスは視覚だけでなく、聴覚でも楽しめるスポーツなのだ。別競技だが、鳴り物が魅力の一つとも言える日本の野球とは、対角にある存在とも言える(野球が好きなので、つい登場してしまう)。
テニスは完璧な個人戦だから、選手と選手が本気で戦いぶつかり合っている感覚がある(シングルス)。
セットポイント、あるいはマッチポイントなんかの緊張感といったらもうない。技術というより、精神力との戦い。
その空気感もジリジリとリアルに伝わってくるから夢中になる。
特に昨年のウィンブルドン。
面白くて結構観ていた。
そして一人の選手に夢中になった。
「シャポバロフ」というカナダの青年だ。
まだ22歳。若い。
準決勝・ジョコビッチとの一戦は凄まじかった。
結果的には1セットも取ることはできなかったのだが、
↓ この数字を見ればこの試合の面白さが伝わると思う。
1セット:7-6
2セット:7-5
3セット:7-5
どのセットもかなりの善戦をしていた。
というか、正直シャポバロフがジョコビッチを圧倒しているような場面も多々あった。本当に惜しかった。
(この絵はジョコビッチとの試合ではないよ。)
ただ、この試合のピークは試合中のストーリーではないと個人的には思う。
あまりにも善戦で、シャポバロフ本人も本気で「勝てる」と感じた試合だったのだろう。試合が終わってコートを去る時、シャポバロフは悔し涙を流しながら声援に応えていたのだ。
その姿をみて一気に僕は心を掴まれた。
それと同時に、この選手を応援していて良かったと本気で思った。
当たり前だがスポーツは、映画やドラマとは違って決められたゴールがない。誰にも予測のつかない出来事が起こるから、面白いし、飽きない。シャポバロフとジョコビッチのこの一戦は、まさにそんな展開だったと思う。ちなみにジョコビッチはこの大会で優勝を果たした。
ただシャポバロフは、先日のナダルとの試合でひと悶着あったみたい。ここではそれに関しては触れないでおこう。
美談で終わっておきたいから。
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車もそうだけど、テニスの絵も描いていて楽しい。
コートの色が平面的に並べられて綺麗だし、その上を走るワンポイントのテニスボールもとっても魅力的。
よく考えると、大勢の観衆が一つの小さなボールのゆくえを見つめているというのは、なんとも不思議な構図である。
テニスに限ったことではないけどね。
では今回はここまで。
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石橋瞭
北海道出身、埼玉県在住
日々やる気と格闘して、結局夜遅くになって
絵を描き始めるイラストレーター。
石橋瞭と検索したら、石橋凌が出てきてしまうのが悩み。
https://www.instagram.com/ryo__ishibashi