妄想絵日記の木川田みりです #17 | 5/3(金)
道端で、襟部分がものすごくよれよれしている服を着た人を見た。猫背で、曇ったメガネの奥には、くたびれた目線が奥深く潜んでいる。思わずその服のよれよれ具合に沿って目線を上下に泳がせていると、不意にその人がこちらを向いた。
「俺の人生は、並々ならぬ、よれよれの人生なんだ」
口を動かさずその人はそう言って、くるりと背を向け、夕暮れに溶け込む影のようにその場を立ち去った。
帰り道、私は旋律に乗せて口ずさんでみた。
「ナミナミならぬ、ヨレヨレのじんせい〜♪」
気分が良かった。いつまでもいつまでも口ずさみながら、夕陽に照らされた道をスキップで帰った。帰り道は行きよりもくねくねと曲がっているようで、進んでも進んでもなかなか家に辿り着かなかった。
ー 木川田みり
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