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妄想絵日記の木川田みりです #10 | 6/24(月)

ベッドから転げ落ちて起きた。中学生の頃、友達と一緒に泊まりで新潟のスキー場に行った思い出が甦った。

到着して翌朝、私たちは雪の積もった真っ白い景色の中を楽しく滑り出すはずだったが、2日目の朝、全てが一変した。アラームの音で目を覚ますと、友達二人の顔が私をじっと見つめていた。彼らの怒った表情が一目で分かった。

「昨日の夜、みりが全部布団奪ったんだよ!」
「私たち、みりのせいで全然眠れなかったんだから!」

3人で川の字で寝たはずなのに、真ん中に寝ていた私の寝相のせいで、彼女たちの眠りを妨げてしまったのだ。その時の、怒りと疲労が混ざり合ったような、冷たく光った瞳が今でも忘れられない。

その後のスキーでも、白い斜面が、まるで私の後悔の重みを雪の粉で吹き飛ばすかのように、その無情な明るさで私を圧倒した。この日以来、私はスキーに行くことを避けている。

ー 木川田みり


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木川田みり(きかわだみり)
1996年生まれ。東京都在住。作家、イラストレーター、UIUX デザイナーとして活動中。2022年に初の個展『熱いお湯で洗濯したら縮んじゃった』を開催。近年は、触れ合った言葉から妄想を繰り広げた「妄想絵日記」を日々手にする「レシート」の裏に描き、instagram や X にて毎日更新している。
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