見出し画像

mycoro 個展 『FUN FAN FOOD』 INTERVIEW by PARK GALLERY

パークギャラリーで 6月30日(水)から7月11日(日)まで個展『FUN FAN FOOD』を開催している、イラストレーター mycoro さんへのインタビューです。会期は残り3日となりましたが、展示に来る前でも、展示に来た後でも楽しめます。また、遠方や緊急事態宣言による自粛でなかなか来店が難しい方など、ぜひオンラインで mycoro さんとのコミュニケーションをお楽しみください。そのほかの質問や感想など、会期中は本人が答えます。気軽に DM やコメントください。

画像1


—— イラストレーターになろうと思ったきっかけを教えてください。

大学卒業後、東京の映像制作会社に入り、テレビ局で主にニュース番組のグラフィックデザインの仕事をしてきました。その日の新鮮な話題を、スピード感を持って簡潔にわかりやすく伝えるためのイラストや解説画面の制作です。自分が作ったものを不特定多数の人に見てもらえる仕事で、やりがいを持って働いていたのですが、テレビの現場は毎日のように慌ただしく、ていねいに作ったイラストやデザインも、放送されるのは一瞬で、なんとも儚いというか … 切ない思いをすることがだんだん増えて来たんですよね。

そんな中、たまたま『瀬戸内国際芸術祭』のスタッフとして、瀬戸内の『犬島』に行く機会がありました。島に展示された現代アートの数々が、スタッフや島の人たちに大切にされている様子を見て、私も “かたちとして残る作品” をもっとたくさん作っていきたいなと感じるように。テレビの仕事も好きなんですが、もっと幅広い層の人に届くものを作りたいな〜と感じるようになりました。

その後、デザイナーとして働きながら、2018年より『パレットクラブスクール』というイラストの学校に通い始めます。


—— 数あるスクールの中でなぜパレットクラブを?

地元に、尊敬する赤池佳江子さんというイラストレーターさんがいて、その方がパレットに通っていたことと、昔から家族みんなで大好きだった『*オサムグッズ』のイラストを描いていた原田治さんが創設したスクールだと知って、選びました。

*ミスタードーナツのキャラクターイラストでおなじみ

おかげで3年間、イラストレーションとガッチリ向き合い、自分はどういう作品をどういう人たちに見てもらえたらうれしいのか、どんな仕事をしていきたいのか、見つめる時間を過ごせました。スクールで出会えた友人たちとは、今でも励まし合える、いい関係が続いていて、切磋琢磨し合っています。


あの時、瀬戸内海で感じた気持ちや、パレットクラブで心に決めた思いを大切にして、イラストだけにこだわらず、いろんなアプローチでみんなに大切にしてもらえる作品を作っていけたらいいなと今は思っています。

画像7


—— その時から活動名は mycoro ?

そうですね(笑) 本名がマイコなんですが、昔からあだ名で『マイコロ』と呼ばれていました。呼ばれた時のコロコロした響きが好きなので、活動する時の名前もこれに。


—— クレヨンで描くようになったのはなぜですか?

もともとアクリルの絵の具を使って描いてたんですが、外出先でももっと気軽に絵が描けたりスケッチができたらいいなあと思っていて自分に合った画材を探していました。 そんな時に家にあったサクラクレパスを使ってみたらなんとなくしっくりきて、他のクレヨンも使ってみたいなという気持ちから、あらゆるメーカーのクレヨンやクレパス、コンテ、パステルなどを買って使って試してみたところ、最終的にスイスの『カランダッシュ』というメーカーのクレヨンと出会い、そちらを愛用しています。発色が良いのと、水溶性なので水で溶いて、紙の上で混ぜたりぼかしたりできるので楽しいです。メーカーごとのクレヨンの相性もなんとなくわかってきたので、今ではいろいろ使い分けながら楽しんでます。

画像8


—— 陶芸もやってみようと思ったきっかけは?

普段クレヨンで描いているイラストに登場する『人』や『モノ』が、まるでイラストから飛び出してきたかのように立体作品で表現してみたいという気持ちがずっとあって、たまたま1年半くらい前から通い始めた陶芸教室で、陶芸にチャレンジしてみました。土を触っていると無心になれて、癒されている自分がいます。

画像8


—— イラストと陶芸では感覚が違いますか?

イラストももちろん好きなんですが、陶芸ならではの、*釉薬の重なりで起きた化学変化による微妙な色の表現は、いまだにびっくりすることばかりです。窯を開けてみないとわからない表現に「おもしろさ」を感じることもあれば「次はこんな色にしたい」というワクワクやリベンジしたい気持ちが湧いたり。毎回、窯に送り出すときにはドキドキしています。

*釉薬…陶磁器の表面を覆うガラスの層

陶芸をはじめてみると、自分にしか表現できない世界はまだまだ広がっていて、ひとつ作るたびに次を作ってみたいと思えるものがどんどん溢れていきます。テレビ番組のデザインからイラストに表現の幅が広がった時のように、いまの自分の創作において、なくてはならない存在です。

画像8


—— それにしてもなぜ FOOD をテーマに?

実は母がパティシエで、子どもの時から、朝起きると家中が焼き立てのケーキやクッキーの香りに包まれて育ってきたんです。頻繁に外食をする家庭ではなかったけど、両親ともにおいしいものやお酒がとにかく大好きで、特に母はテレビや雑誌で見たおいしい料理をなんでも再現するんです。話題のスイーツからフレンチまで。それで私も自然と食べるのが好きになって。

あとは、おいしいものを囲みながら人とおしゃべりするのが好きなので、今回の展示はできるだけ会場に訪れた人やオンラインでアクセスしてくれた人と “おいしそうな作品” を通じて話すことができたらなと思い。

画像5


—— mycoroさんが描く食べてる人たちの姿好きです。

おいしいものを食べている人の表情が好きで、実は食べてる人の様子をずっと観察して描いてます(笑)
もちろん表情だけじゃなく、食を通じて生まれるコミュニケーションも好きなんですよね。「あの店おいしいよね〜」とか、「ここのこれオススメ!」とか。ワクワクする気持ちを妄想したり共感するのが楽しいです!

画像6


——  自分の「なりたい」や「好き」という思いに向かって、まっすぐに表現してきたイラストレーター mycoro  さん。さいごに、読者のみなさんへメッセージをお願いします。

初めての個展で、しかも梅雨と重なって、はじまるまでは「お客さん来てくれるかな … 」と不安な気持ちでいっぱいでしたが、初日から今日まで本当にたくさんの方にご来場いただき、感激でした。ありがとうございます。

入場制限でお客様を待たせてしまうこともありましたが、みなさんのおかげで大きなトラブルなく、最後の週末を迎えることができました。

これからも、イラストだけにとどまらず、陶芸や他のアプローチでも『ものづくり』を続けていこうと思うので、インスタなどで私の動向を見続けてくださると嬉しいです!(笑)

最後に、不慣れな点も多い中、パークギャラリーのみなさんには本当にたくさんサポートしていただき、心から感謝しています。ありがとうございました。

展示は今週末、7月11日(日)まで開催しておりますので、ぜひ駆け込みでの来場お待ちしております!マイコロに会いに来てください。

画像7

mycoro(マイコロ)
1988年大分生まれ、金沢育ち。
大学卒業後、テレビ局の美術職を経て2020年にイラストレーター・グラフィックデザイナーとして独立。雑誌や web 等、さまざまな媒体で活動。見る人の心をパッと明るくさせられるような作品をめざし、主にイラストや陶芸で日々制作をしている。
https://mycoro.tumblr.com
https://www.instagram.com/mycoro_illust


いいなと思ったら応援しよう!

縁側 by PARK GALLERY|オンラインマガジン
🙋‍♂️ 記事がおもしろかったらぜひサポート機能を。お気に入りの雑誌や漫画を買う感覚で、100円から作者へ寄付することができます 💁‍♀️