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えかきもじ展によせて ⑩

加藤です。少しのあいだご無沙汰してしまいました。
実は、知ってる人もいると思いますが、パークギャラリー運営のかたわらで、広告やメディアの制作の仕事に携わってまして、東北から千葉にかけて1週間ほど出張しておりました。鹿を食べたり、山奥の宿が停電になったり、漁船で遭難しかけたり、スピード違反で切符を切られたり、いろいろありましたが楽しかったです。

3、4年くらい前から、どこかの町に呼ばれて、その土地の文化や人の魅力を<言葉でデザインする>という仕事をしています。いわゆる『編集』という仕事です。そこにしかない景色や文化に触れたり、人に出会ったりという『旅』をしながら、そのすべてを、東京での暮らしや仕事に役立てています。もちろんパークギャラリーにも。

今回は佐賀を拠点に活動している、ちえちひろさん、中村美和子さん、大門光さんの3組の『えかきもじ』作品を紹介します。佐賀に通って、ゆるやかなつながりが生まれて、展示していただくに至りました。

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佐賀へ訪れた際にふと立ち寄ったブック&ギャラリー PERHAPS で最初に手に取ったのが、姉妹ユニットちえちひろ特集のアートブックでした。ちえちひろさん。以前から名前は知っていたのですが、正直どういう絵を描いてるのか知らないでいたので、アートブックに収録された絵を何度も見てはドキドキしたのを覚えています。

佐賀の旅では、行く先々でちえちひろさんの絵に出会います。その度にどんどん惹かれていくし、パッと見るだけだと絵本のようなかわいらしさがあるけれど、まったく隙を感じさせない表現力、まるで合気道のような強さを持つ絵に恐ろしささえ感じた気がします。

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ちえちひろさんから届いたえかきもじは「じぶんからアイラブユー」。ほっこりとした柔らかい作風のようにも見えますが、地域で猫の保護の活動をしている2人だからこその作品だなと感じました。絵本の1ページを抜き出してきたようなかわいらしい絵も、『自分からアイラブユー』というメッセージを考えれば考えるほど、自然の摂理や、動物を飼うことの厳しさのようなものが垣間見えると言ったら考えすぎでしょうか。命のしなやかさと強さみたいなのが含まれた作品のように感じましたが、みんなはどう見えますか。

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セーターかわいく描ける人は人気出る説

そういえばたまたま取材で訪れた先がちえちひろさんの実家だったのには驚きでした。お兄さんは陶芸家。天才家族。

そして偶然で驚いたと言えば、はじめて佐賀に出張に行った日の夜、佐賀のお酒が飲みたいと入ったお店で接客してくれたのが中村美和子さんでした。もちろんその時は作家さんだというのは知らず、後日東京で美和子さんに会うことで知ることになるのですが…(すごくない?)

2020年にパークで開催されたグループ展『Eda』や、『TARP 五人の作家展』にも参加してくれていた美和子さん。はじめて作品を見たのは佐賀でした。今まで感じたことのない『日常の余白』の表現は唯一無二。イラストレーションという領域を超えたアートや文学の世界を表現する人だなと感じています。そんな美和子さんから届いた作品はこちら。

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美和子さんの作品を単なる「絵」や「イラスト」だと思って受け止めていると、この作品は難解に感じると思うのですが、ぼくは美和子さんの絵の魅力は、モチーフを分解する力にあるとぼくは思っていて(景色や状況を分解している)、だから分解される前の設計図を想像してみれば、今回の作品も似て非なり、ということがわかります。

モチーフの影(ふち)をなぞってると言う感じ。プロセスが文学的かつ音楽的で、個人的にすごく好きな1枚です。では彼女はいったい何を分解しているのか、というのはぜひ現場で(スタッフに言って裏を見せてもらってください)。

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中でも「すなどけい」がすき

ちなみに中村美和子さんの作品集も、ちえちひろさん同様に PERHAPS から発刊しています。佐賀でアートといえば PERHAPS 。名古屋でいうところの ON READING 、と言えば伝わりやすいかも。それと、嬉野の旅館『大村屋』も忘れてはいけません。

江戸時代から続く<老舗>の顔を持ちながらも佐賀に集まるカルチャーを幅広く全国的に発信する基地でもある大村屋。温泉からあがるとすぐに(こちらもえかきもじ展にも参加している)本秀康さんによる大村屋オリジナルキャラクター『フクスケくん』が出迎えてくれます(はじめて行った時に、ここの若旦那はただものじゃないと思ったのは、この湯上がり空間)。

そんな大村屋さんの若旦那・北川氏が最近はじめた新スペース『RIVER SIDE HOUSE』はパークとしても気になっているのですが、その施設内のコーヒースタンド『おひるね諸島』で店番をしているのが、今回紹介するイラストレーターの3人目、大門光さんです。大門さんのえかきもじ作品はこちら。

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台湾を旅行したことがある人なら馴染みのある街角の風景。一瞬で旅に行きたくなる作品です。

大門さん、初期の高橋留美子の漫画のようなノスタルジー感のある女の子タッチや世界観も好きなポイントですが、はじめて彼女の作品を見たのはある日のインスタでした。大門さんが描いたキャラクターが写真の中で本当にいるみたいに生き生きとしてる作品に目が止まって、一気に好きに。しかもよく見るとこれは取材で訪れた大村屋の名湯だということになって、思わずメッセージを送ってしまったのでした。

ちなみにこの投稿
https://www.instagram.com/p/B_KX-JUj0SD/


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おひるね諸島も行きたいな

そんなこんなで長くなってしまいましたが、何かと縁のある佐賀の3人を紹介させていただきました。

これからもパークは、東京にありながらも東京にあらず。距離の概念を超えて、全国各地に感覚を研ぎ澄ませていけたらと思っています。

👈 さて

えかきもじ展も残り4日ですね。こんなご時世なので、来て来てとは言えませんが、現場でしか伝わらない魅力があるのは事実です。できる限り、オンラインで安全なまま最後まで伝えられたらと思いますので、どうぞ、応援のほどよろしくお願いします。オンラインでコメントをくれたり、買い物をしてくれるだけで、そんなアクションが、ぼくらはもちろん、作家さんたちの励みにもなると思いますので。

ではでは。お元気で。

えかきもじ展そのほかの作品の紹介は 👇 から


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