なかおみちお連載コラム DO NOT DISTURB #01 『アウフォト』

ぼくらが高校生の頃、インターネットという言葉が新しい言葉としてよく聞かれるようになったものの、まだ家にパソコンが普及する前だったので、情報は、雑誌やテレビで仕入れていました。

ネット時代直前のぼくの遊びの一つは、フジカラーの『写ルンです』で、スケボーや友達を撮って楽しむこと。

影響を受けたのが、この『アウフォト』って雑誌。平たく言えば素人の投稿写真雑誌。編集長の米原康正さんは、元々雑誌『egg』の創刊に関わり、編集者をされていて、コギャルがインスタントカメラで友達とか撮って写真に絵を描いたり、シール貼ったりしているのを見てきて、それをポップアートのようだと感じ、女子高生だけではなく、全国のいろんなひとから写真を集めて『アウフォト』を作ったらしい。

このエピソードだけでかなり感化されたのと、元々、米原さんの周りの人たちの中に、ぼくの憧れのスチャダラパーがいて、彼らが『asayan』というファッション誌の中でやっていた『スラミン横丁』というコーナーで紹介されていたのがきっかけで知ったのです。

素人投稿と言いつつ、スチャダラパーから、横尾忠則まで、豪華なメンツも参加していて、ワクワクしました。コンビニすらない田舎（今もない）に絶望していたぼくにも、楽しみをもらいました。

バックナンバーも書店で取り寄せて、大事に読んでたなーなんてよく思い出します。

遊び方を学んだ気がしてますが、あまり遊びがうまくないのが、ぼくの悩みです。

月日は経ち、20代前半にパークギャラリーの加藤と出会い、アウフォトの話になって盛り上がったのを覚えています。彼はフジフィルムでプレゼンし、『NICE SHOT』という自身のイベントに協賛をつけ、『写ルンです』を来場者に配り、みんなから写真を集めて、加藤と一緒に作っていた漫画雑誌の巻頭ページに写真を載せたりしてぼくらは遊んでいました。

なかおみちお
1982年鳥取生まれ・東京在住　イラストレーター。
間の抜けたPOPな表現でイラストを中心に活動中現在、VERY(光文社)にて『武田砂鉄のVERYな言葉狩り』でイラスト連載中。NERD SKATES、NERD SPORTS 名義でオリジナルもグッズも制作している。2014年から4年にわたり毎年開催された ARGUMENT GALLERY でのグループ展『New gig』を主催。
https://nakaomichio.com
https://www.instagram.com/nakaomichio_illustration