boa viagem #013 『子は大人を見て育つ』by 写真家・新多正典
旅も終盤。
帰りの飛行機のアナウンスが来た。
まだまだやり切ってない感覚。
もっと時間がほしい。
先日無駄な1日を過ごしたと、憤りの気持ちを抱いたのも焦燥感からきたのかもしれない。
でもたくさんの無駄を経ないことには見たいものに辿り着けないのがこの国の真理だと思う。
コスパだのタイパなどに支配されている日本人にとってはジレンマだ。
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昨日は、イレギュラーな予定からスタート。
ポルトヒコでは、バッキミリンという10代以下の子どものみで編成した部隊がある。
彼らの巡業が朝早くにあり、8時の招集がかけられた。
大人を見て子どもが育つ、というのか、やはり8時の集合を律儀に守る子どもは少ない。
徐々に集まりバスが出発したが、驚いたのは大人が帯同しなかったことだ。
年長は高校生だけど、やはり日本ではそんなことはさせられない、となるだろう。
着いた先は未就学の年齢の幼い子と母親たちが集まるコミュニティスペース。
まさしく巡業という言葉がぴったりなくらい爆音でたくさんの家族を喜ばせていた。
そして演奏したミリンたちも5-10年後のチームの中心を担うことから、世代の循環をスムーズに起こす経験をしていると感じた。
音楽のマラカトゥ、宗教のカンドンブレーを維持発展させていくために彼らはコミュニティを家族として捉えている。
全ての大人が全ての子を育てているように見える。
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夜は、最後の全体練習会。
カーニバルの期間、演奏をどこかしらでやるけれど、実は彼らの本部前の路上でやる練習こそがもっともパフォーマンスが高いように感じる。
ポルトヒコの演奏を聴きたければこの全体練習の日がベストだろう。
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