猫背で小声 | 第4話 |さめたおてて
学校に行かなくなったぼくは、大好きなテレビを見ながら毎日を過ごしていました。学校から離れても朝時間通り起きるということはできていて、小学生という国から与えられた職業らしきものを、ギリ全うしていました。
いきなり学校に行かなくなってしまったので、同級生からは心配され、学校が終わった後、ぼくの顔が見たいとウチに訪問してくれました。
ぼくは学校自体が嫌だったので、せっかく来てくれた同級生と顔を合わせず、そのまま帰らせるという失礼なことをしてしまいました。
今考えるとかなり失礼ですよね。
同級生も小さい体で
大きな勇気を振り絞って
ウチに来てくれているのに、
それを振り離すようなことをしているのだから。
家での生活は楽しかったですが、
小学校や世間の「人間関係」というものはかなり苦痛でした。
家に来てくれたコバヤシくんには悪いことをしたなと今でも反省しているし、あの時を悔いています。
少し思うのですが、不登校は楽な部分もあります。
自分の趣味もできるし好きなように過ごせる。
でも楽なことばかりを考えていると、人生で大切な「苦しい部分」というものを想像し考えることがなくなると思うのです。
この不登校で我慢することや堪える、という気持ちが養われずに大切な時間をムダに過ごしてしまったと思います。
テレビばかり見ている場合じゃないんですけどね。
そのようなことをたま〜に考えては日めくりカレンダーを何度もめくり、小学校卒業を迎えました。その時も学校への気持ちはそれほどなかったです。
普通の小学生より卒業への熱がありませんでした。これからの進路、夢、あまり頭に浮かびませんでした。ぼくは長い時間をかけて白紙の日めくりカレンダーをめくっていたんでしょうね。
卒業おめでとう
そんな言葉は響かずに家にいた、記憶に残らない12歳のある日。
近藤 学 | MANABU KONDO
1980年生まれ。会社員。
キャッチコピーコンペ「宣伝会議賞」2次審査通過者。
オトナシクモノシズカ だが頭の中で考えていることは雄弁である。
雄弁、多弁、早弁、こんな人になりたい。
https://twitter.com/manyabuchan00
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