スモーキング・ジャケット
スモーキングと言えばYves Saint Laurentであり、Yves Saint Laurentと言えばスモーキング。かつてヘルムート・ニュートンは、サンローランのスモーキング偏愛をみごとに写し撮った。
若かりし頃は全くピンと来なかったのだが、近年とうとう、スモーキングの魅力が私にも分かるようになった。
あれってちょっと歳を取らないと、身体の表面から浮いちゃうというか、ちっとも似合わないもんだったんだね。ちらりと覗く手首や首すじが若くピチピチ瑞々しすぎると、スモーキングの詩的で禁欲的でノーブルな雰囲気を壊す。
漆黒のウール地にシルクサテンの襟がぼんやりと反射する様子は、風の強い夜、空にたなびく雲が月光でチラチラと瞬くさまにも似ている。
セザール授賞式に呼ばれたりしないし、昼間からスーツで夜用の装いをする勇気は(まだ)ないので、ここは色褪せたLevi’sの501(66後期タイプ)を合わせたい。サンローランも「ブルージーンズは自分が発明したかった」と言っていたことだし。
足元は純白のスニーカー。NikeのBlazerか、Vansのスリッポンとか。ソックスは無し、または外に見えないように履く。
バッグは黒。サテンかエナメルのぺったんこクラッチ、または自作ショッパーglam rock shopper®︎の持ち手を結んで、巾着型にして手首にラフにぶら下げる。
アクセサリーはブレスレットのみ。
あ、ごく小さなイヤーカフも着けたいな、マスク着用義務の無い世界に早く戻らないかな。買ったばかりのイヤーカフをマスクの着脱のせいで紛失した記憶が鮮明で、怖くて着けられない。
そして実はこれを書いている途中で、形もサイズも価格も理想的なスモーキング・ジャケットを手に入れたのだった!1996年にYves Saint Laurentが通販大手La Redouteとのコラボで作ったものである。
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