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【終末期】母の生命力ってこんなに凄かったんだ、と思った日
母の退院カンファレンスから、一ヶ月が過ぎようとしています。
口からの食事が取れなくなってからは40日。経鼻経管栄養(鼻からの栄養)とパーキンソン症状を緩和する投薬を外して点滴だけになって一ヶ月。
あとは、ご本人の生命力になります
そう告げられて施設に戻ってからは、家族全員が緊張の渦にいました。
退院直後の様子からはもう…
8月に入って直ぐに誤嚥性肺炎で入院しました。
治療の一環で絶食し、退院する頃になっても嚥下指導は上手くいかずに、そのまま退院になった母。入院中は酸素が安定せず、就寝中は酸素マスクをつけていたとも聞きました。
母は、パーキンソン症状を伴うレビー小体型認知症。
体重は、30kgを既に切っています。
そして、パーキンソン症状を抑える薬を入れることのできなくなった体は、カチンコチンに硬直していました。
医師の説明では「唾を飲み込むだけで誤飲性肺炎になる」と言われ、家族全員覚悟を決めていました。そして医師は、母の余命を「2,3週間から一ヶ月弱」と家族に伝えたのです。
痰が絡むと窒息して苦しい
退院直後に、母は、口から泡を吹きました。
その一部始終を見た家族は、母が唾を飲み込むことさえ出来なくなったことを実感したのでした。真っ黒な顔つき、黄疸の出始めた母の顔を私は今も忘れることはできません。
痰が絡むと窒息してた状態になって苦しい。
苦しみを取り除くには、たまった痰を取り、呼吸や脈拍、血圧の安定を図るしかない。でも、母の施設には常駐する看護師がおらず、痰吸引のできる職員もいません。
私たち家族は話し合い、万が一に備えて、訪問看護師から痰吸引を習って付き添うことに決めました。
せめて、苦しまず、楽な最期を看取りたいと、私たち家族はそう願ったのです。
体の不思議さ、神秘さ
退院直後から、母は日に日に硬直が解けました。
先週からは、週一回のリハビリも入るように。
すると、
支えもなく、背もたれもない状態で母が座ったのです!!
えーーーーー?
その様子にめちゃくちゃ驚きました。
そうやって昨日、2回目のリハビリを終了。
今回も背もたれナシです。
栄養もとれず点滴だけで生きている、体重30kg未満の母。骨と皮だけになっても、リハビリの力で座ることが出来るんですね。
人の体って本当に不思議です。
リハビリ専門士(作業療法士?理学療法士?)って凄いです。
人間は、生まれるときも死ぬときも選べないなんだな…
退院直後は、母が早く楽に逝ければ…と力もなく願うばかりでした。もう点滴も要らないし、苦しい痰吸引(痰吸引って苦しいらしいです)もいらない。
早く楽になってほしい…そう願っていたのです。
でも、ここにきて人間の持つ生命力というか、神秘というか…
人間の命をまざまざと見せつけられています。
ここまで肺がきれいと言われ、点滴も体に吸収されて浮腫みもない体。当初、心配されて準備した酸素マスクは、まだ一度も装着されたことはないのです。
父は「本当は喋れるでしょ?何かしゃべって」と、母にちょっかいを出してくる始末(笑)
人間の命は、医療の推測をも越えてくる…
そんなことを耳にするのですが、
それを今、私は体験している。
人は、生まれてくるときを選べないように、死ぬときも選ぶことはできないのだ。
点滴も落ちなくなった…もうサインを告げている…そう思っていたけれど、再び、点滴は落ちたし、「会いたいご家族に早目に会わせてください」と医師に言われてから、母の兄弟たちも最期の面会を終えている。
それなのに、母は今日も安定した朝を迎え、施設のフロアに出ていると家族から聞く。
なんと凄い生命力だろうか。
母よ、あなたはこんなに生命力が、みなぎっていたのですね。