列子
老子、荘子ときて、列子を読んだ。
列子は、はじめはぱっとしなかったが、後になってすごい奴だと評価された人らしい。話としては、いわゆる老荘思想でありのままの系だが...、ちょっとクセが強い。
例えば、「杞憂」は過ぎた心配事でおなじみの言葉だが、男たちが空から星が落ちてくるとか、落ちてこないとかで散々議論した末に、どっちでもいいよねとまとめており、肩すかしがすごい。
他には、「蕉鹿之夢」とか「覚夢を論じる」で知られている話は、仕留めた鹿をめぐってふたりの男が裁判をするのだが、お互いが「鹿をみつけたのは夢だったのかも」と言い出し、男の妻も「それならその夢は正夢ね」とか言い、結局よくわからないから判決は2等分すること、判官が決めたんだからそうだね、というオチのめちゃくちゃな話である。
他にも、虫をやっつける程度に強い武術の達人とか、ナンパもできるロボットとか、登場人物もクセが強く、マンガのようである。
もちろん本人も登場する。
旅と散歩が好きな列子が「楽しい楽しい」と旅の良さを語ったところ、師匠に「お前は何も分かっていない」といわれ、ひきこもってしまう話、独り立ちしてセミナーに人が集まるようになった頃に師匠が現れて「調子にのるな」と一喝される話などがある。
人物を紹介すると、自分のロマンがのっかる訳だが、荘子が優等生なら、列子は道化という感じ。
知る者は言わず、言う者は知らず、なので色々言ってもまあ知らぬ者、なんだな。