蝶と蛾が好き
一番伝えたいこと。
家に入った蛾は容器を被せて紙を滑り込ませて捕獲して逃がすとよいってこと。
はじめに
生き物に興味を持って一年足らずの素人ですが、先日まで蝶を飼育していたので、顛末を中心に書こうと思います。
アオスジアゲハのサナギをみつける
冬に新宿中央公園を散歩していたら黄緑色のサナギをみつけました。茶色の枯れ葉に黄緑なのでかなり目立っていました。
普通、昆虫は擬態といって環境に紛れるものですが、このサナギは、うーん、しくじってますね。
黄緑色で角があるサナギといえば、アオスジアゲハです。
結果的にいえば、珍しいものだったと思います。というのも、その後、都内のいろいろな公園で探したのですが、みつけられなかったからです。アオスジアゲハどころか、蝶の越冬サナギは全然みつかりませんでした。
その頃は昆虫の飼育はやれば何とかなると思っていたため、持ち帰って羽化させることにしました。
というのも、ちょうど昨年の年末まで小さい蛾を飼育していたので。
ちなみに、小さな蛾はヨトウガで、素人あるあるで申し訳ありませんが、モンシロチョウと思って羽化させたら...というきっかけです。その子は羽化してから40日ほど生存してました。
サナギが羽化する
越冬サナギだったので、3ヶ月ほどそのまま変化なしでした。割り箸につけてペン立てにおいておいたくらいです。
拾ったサナギあるあるとして、蝶ではなく寄生バチが羽化することがあるらしいのですが、それはないようでした。ラッキーでした。
春になり、もうすぐ羽化かなと思っていたところ、ある日の早朝に色が黒くなり蝶っぽい形のものが入っているのが分かりました。
いわずもがな、蝶は完全変態の昆虫なので、サナギの時はなかはわりとドロドロで、時が来たら身体を再構築します。
今日にも羽化するぞと思い、急いで100均で大きめの洗濯ネットを買ってきました。
蝶は元気に飛び回る生き物なので、虫かごでは狭すぎるのです。その辺がよく書籍で書かれている"蝶の成虫は飼育が難しい"という理由なのですが...。
黄緑色のサナギが黒っぽくなり...
半日ほどで出てきます
上の写真ではまだ翅が開ききっていませんが、じきに開きます。
アオスジアゲハは、黒い翅に黄緑の筋があることからそう呼ばれていますが、このアオスジの部分は鱗粉がありません。そのため、よくみると向こう側が透けてます。
アゲハチョウはきれいな印象を受けますが、アオスジアゲハはカッコいい系かと思います。
実際、飛翔する姿は力強いです。
蝶を飼育する
飼育するといっても、基本的にはネットの中で放っておくのですが、1日1回くらいでごはんをあげます。
ごはんは、スポーツドリンクやジュースなどをティッシュに染み込ませて、うまいこと吸わせてあげる感じです。
この辺はいろいろやり方があるのですが、この子の場合は、ごはんを近付けてあげると、お腹が空いていたら吸う、といったようにわりと手の掛からないタイプの子でした。
手で補助して吸わせる場合は、翅をおさえるためどうしても鱗粉が剥がれます。毎日だとどれくらいになるか分からないのですが、この子はあまり剥がれませんでした。
こんなネットで飼育します
食事中は普段はしまってあるストローみたいなのを伸ばします
下に置いて飲むときもあれば、上に置いて飲むときもあります
調子がいいときはガツガツ吸います
どんな様子かひとことでというと、明るくて暖かくなったら元気に飛ぶ、といったところです。
春先で寒い日もあったので、じっとしていることも多かったのですが、昼間などはバッサバッサと飛んでいました。
よく蝶はヒラヒラ飛ぶイメージになりがちですが、アゲハチョウなどの場合は、よくみると力強く飛んでます。
最近は、野生のアゲハチョウなどをみると、たくましい奴らだ...と思ったりします。
かわいい、カッコいい、とややウキウキだったのですが、ひとつ困ったことがありました...。
放蝶するか悩む
うちのアオスジくんは、他に漏れず元気な蝶でした。
そのため、ネットの中だと狭いようでした。ちゃんといっておくと、2週間ほど経過したあたりから、次第に翅がネットに当たって壊れ始めました。
知ってのとおり、昆虫は身体の部位が一度壊れると再生しません。
いってしまえば、産まれたら命を全うするまで回復なしで走るようなイメージに近いです。
たまに野生の蛾など、翅がボロボロの姿をみかけるときがあり、生き様のようなものを考えたりしますが、うちのアオスジくんの場合はネットが狭いことが原因なので、外に放すか悩むようになりました。
ネットから出して部屋で放し飼いにする選択肢もあったのですが、うちでは難しいところでした。
折衷案として、例えば、お風呂場などでたまに放してあげるのはよいかもしれません。
また、暗くしてひんやりした場所でなるべく動かないようにするという策もなくはないです。
結論として、放さなかったのですが、理由としては以下です。
・他所から持ってきた蝶を近所に放してよいのか(生態系への影響の問題
・羽化して数週間が経って翅も破れた蝶を放して生きられるのか(生存の問題
・簡単にみつかるような個体を繁殖の可能性がある環境に放してよいのか(遺伝の問題
と書いてみても、アオスジアゲハなら近所にもたくさん飛んでますし、何の問題もなかったのかもしれませんが...。
先に挙げた事項は、生き物の種類によっては問題になるようなので、覚えておくとよいですよ。
小さな積み重ねが地球環境を救う...とか。
25日ほど経ったところです。上の方から破れが広がってます。
ちなみに近所でみつけたちょいボロ翅のツマジロエダシャクです。
ちなみに、海外の事例では、翅の折れた蝶を別の蝶の翅を貼り付けて飛べるようにする試みがありました。もちろんいたずら的な考えとは逆の、助けたい一心での試みです。
ただ、この手術は激ムズであるのと、最近の研究によると、翅は単なる個別の部位ではなく温度などを感知する重要なセンサーの役目もあるそうで、あくまで位置付けとしては緊急措置のようです。
蝶を看取る
看取るといっても、うーん、30日ほど経った頃に、少し元気ないなと思っていたら、次にみるとひっくり返っていたという感じでした。
昆虫は重心の関係で力がなくなるとひっくり返るそうです。
で、命を全うしたら埋めようという気にもなるのですが、そこにも生態系への影響の問題があるらしく、燃えるものとして処理するのがベストのようです。
わたくしは、ちょっと悩み中です。
蝶と戯れる
最後に、アオスジくんと仲良くなれたのかについて。
これについては、仲良くなれたと思いますし、アオスジくんはそれはそれでハッピーな一生だったと思います。
お休み中などのおとなしい時に指を前に差し出すと乗ってきましたし、慣れてくると三本の指で両横と上から胴をつかむ形で翅を触らずに掴めました。
それは単にそういう性質、扱い方をしただけといってもよいのですが...
お互いがお互いの反応に合わせているという状態は、仲良しといってもいいかと思います。
アオスジくんではないのですが、先日に子どもと電車に乗っていたところ、隣にベニシジミがおとなしくしていました。
それで、ちょっと遊んで、子どもの手のひらに乗せたりして、窓から外に放しました。
おとなしいときは、外を飛んでいるときよりは抵抗なく手に乗ってくれる気がします。
おわりに
先のとおり、わたくしは後先考えずに始めて途中でいろいろ悩むタイプなので、今後は蝶を飼育するのは慎重になろうと思いました。
夏も近くなって都内でもいろいろ幼虫をみつけることもあるのですが、まあ写真に撮るくらいにしておこうというスタンスです。
ちなみに都内で蝶をみるなら、足立区生物園がオススメです。放蝶された広い温室があり、年中蝶の飛ぶ姿が近くでみれます。
本で知るならこちらがオススメです。
補足 : 蛾も好き
わたくしは蝶も好きですが、蛾の方も好きです。
といいますか、分類的に蝶と蛾の区別はそれほどないそうです。また、蛾のイメージとしてよくありがちな毒を持つ種類もそれほど多くないそうです(なくはないです)。
ある小学生の研究報告では、マイマイガを駆除した際に気になって生態を調べたところ、なんだか好きになっていたという話もあります。
あと、日本には生息していませんが、マダガスカル島には、多くの蝶たちを差し置いて"世界一美しい鱗翅目"とまでいわれるニシキオオツバメ、シンジュツバメという蛾がいるそうです。
どの蝶や蛾もよいのですが、こういった話は胸アツですね。
ということで、冒頭の話になりますが、もしうっかり部屋に入った蛾がいたら、汚いとか怖いと思うのも分かるのですが、もしかすると相手も気持ちは同じで、ここに居たくない触られたくないと思っているかもしれません。
そんなときは落ち着いて、とまっているときにオワン型の容器を被せて、そこに紙などを差し込むと簡単に捕獲できるので、そのまま外に放すとよいかと思います。
また、ある研究によると、LEDライトの場合はその光には寄ってこないとか...。
長くなりましたが、話は以上です。
ありがとうございました。