陸上800mで世界新、現役引退の山本がチャレンジ
男子(T63:大腿義足)800mの世界新記録が誕生した。
第3回NAGASEカップ陸上競技大会(10月12日)で、山本篤(42歳、新日本住設所属)が2分44秒05走り、自身が持っていた世界記録(2分52秒06)を更新した。
山本は、北京(2008年)、ロンドン(2012年)、リオ(2016年)、東京(2021年)の夏季パラリンピック4大会に出場。北京とリオでは、走り幅跳びで銀メダルを獲得した。冬季も平昌パラリンピック(2018年)にスノーボードで出場した。
パリ・パラリンピックへの出場権は獲得できず、今年5月、現役引退を表明した。
競技の第一線からは退いたが、NAGASEカップには参加申し込みをし、800mの世界新記録を狙っていた。
NAGASEカップが開催された国立競技場は、山本が出場した2021年の東京パラリンピックの会場だった。新型コロナウイルス感染症の影響で無観客となったため、家族は国立競技場で観戦することができなかった。
「家族みんなで国立競技場に来たいという話だったんで。今回、走るという決意をして。走るんだったら世界記録を出さないと意味がないと思って。Instagramにもそう宣言して、退けない状態をつくりました。こういう機会でないと、国立競技場はなかなか走れるチャンスがないし、僕にとってパラリンピック最後の地なので」
晴天に恵まれた大会初日、家族は観客席の最前列から声援を送っていた。
山本は、800mの世界新記録を有言実行した。
現役時代と変わらず、目標を掲げ、それを達成するためにチャレンジしていく姿がそこにあった。
(取材・撮影:河原レイカ)
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