【第0203稿】思い出の音楽(悪い意味で)。

これは、私が大学1年の頃のお話。

大学くらいになると、直接の友人じゃなくても一緒に行動することが多くなる、という感覚は分かりますかね?例えば、元々友人だった人に別の友人が出来て、その別の友人とはさほど仲良くないんだけど共通の友人がいるから一緒に行動する…みたいな。

今回は、そんな「友人の友人」であるN君のお話。

私も友人も、友人の友人であるN君も、まぁ簡単に行ってしまえばオタクなんですが。まだ距離感があるため、お互いがどんなオタクであるかというのを知らない状態で。共通の友人がいる手前、仲良くならない理由は無いので、探り探りできっかけを探し、N君がどういう人物なのかを見定めている頃。

たまたまN君が運転する車に乗る機会がありまして。

その時5人で行動していたのですが、私は名前の通り「デブ」なもので、「デブは助手席に乗るもの」という暗黙のルールに従い、N君の助手席に乗ったわけです。要するに「デブが後部座席にいると狭いだろ!?」ってことですが。

で、出発してしばらくして…もちろんまだ会話も少ないN君に、どう歩み寄ろうかと考えていた時、N君のカーステレオから聞き覚えのある曲が流れてきまして

ガンスミスキャッツのサントラでした。

当時の私は兄の影響で月刊アフタヌーンを読んでいたので、ガンスミ自体を知っており、かつ兄もガンスミが好きだったので、家に同じサントラがあったんです。なので、1曲目を聴いて、

俺「あ、これガンスミ?」
N「え!?知ってんの!?」

と、一瞬で心の距離が近寄ったわけです。

何故なら、当時はまだアフタヌーンという漫画雑誌は有名なものではなく、かつこの作品の内容が「銃と爆弾とカーチェイス」という、極めて日本人受けするような作品では無かったため、知っている人があまり多くなかった(特に当時10代後半の我々の世代では)のです。

そりゃね、自分の周りにそんなニッチな作品を知っている人がいたらテンションは上がりますよね。しかも多分これ、テレビアニメじゃなくてOVAだったはず。そりゃ知る人も少ないよ、ってことなのですが。

俺「兄貴が好きなんでうちにもこのCDあるよ」
N「マジで!?」

と、N君と一気に仲良くなれるかな?と思った次の瞬間


キキーッ ドン


事 故 っ た 。



小さめの橋を越えたところで、左側の川沿いから出てきたおばさんの車にぶつかりまして…。結果として7:3でN君が悪いということになったらしいですが、まーその時のN君の顔と言ったら。もう。ね。

直接口にして言わなかったものの、「お前が急に俺のテンションが上がるようなことを言うからだ」という目をしていましたよ。磁石の極が急に反転したかの如く、N君との距離は一気に離れましたよ。

まぁ、要するに友人の友人N君が運転する車に乗ったら事故った、という話なのですが…


別日にもう1回事故ってんのよ。


その時も私が助手席に乗っていたので、さすがにN君は言いました


「お前を乗せると事故るからもう乗せないわ…」



いや、多分N君、君の運転が甘いからだと思うぞ?と、口から出そうになりましたがグッと堪えておきました

それからの大学生活では、N君とは普通に話をして普通に仲の良い友人的な立ち位置でしたが、みんなで車で遠出しようぜというときでも、絶対にN君は私を車に乗せてくれませんでした


ちなみに余談。


それから20年近く経ちました。大学卒業以来ほとんど会ってないなぁ。N君元気かなぁ。共通の友人からは、「親の会社を継ぐため、今は専務」という話を聞きました。うへぇ。こっちは平社員だよ…。


もし会う機会があれば、是非ガンスミのCDを持って行って、N君のポケットにこっそり入れてやろうと思います。

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