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あなたがペイガンフォークを聴く理由

ペイガンフォークとは、一言でいうと「めちゃくちゃ自然をリスペクトした音楽」だ。自然へのリスペクトが半端ではない。ジャンルとしてはフォークロアの親戚のようなものだが、ペイガニズムを取り入れたことによって、自然以外のものを拒絶しているのが特徴だ。ペイガニズムはさまざなな意味のある言葉だが、ペイガンフォークの多くは自然っぽい架空の宗教を指す場合が多い。

音楽性としては、ペイガンフォークという確固たるジャンルがあるわけではなく、バンドによって音色が大きく異なる。インダストリアルメタル、ミニマルミュージック、アンビエントなどの根幹となる音楽をベースに自然へのリスペクトをブレンドしてオリジナリティのあるペイガンフォークが生まれるのだ。

演奏するのはもちろん人間だが、人間すら拒絶している歌詞の楽曲も多い。なにせ一番環境を破壊しているのは人間だ。木や川、自然の代理人という立ち位置のペイガンフォークと人間はあまり仲が良くなれない。

・・と言っても聴いてみないとイメージが沸かないと思う。フォークロアはともかく、ペイガンとなるとどれもあまり聴きやすくはないジャンルなので、私がよく聴くバンドを2つほど紹介していきたい。

Heilung


ヘイルンはミニマルミュージック系ペイガンフォークだ。ドイツ語で癒しという意味を持つヘイルンのサウンドは耳あたりが良い。中世ヨーロッパの音楽や密教の儀式で使われる楽器で奏でられる優しいサウンドから見え隠れする邪悪な囁き声は、シンフォニックデスメタルのようなコントラストを生み出している。丸太で床を突いてリズムキープをし、人骨を加工した楽器で優しい音を奏で、呪いの呪詛を唱える。サウンド、ライブ映像ともにヤバい儀式にしか見えないバンドだ。

Wardruna


ワードルナはダーク系ペイガンフォークだ。鉄器時代に記されたルーン文字を解読した歌詞、当時生まれた楽器。徹底的にヴァイキング時代の情景の際現に重きを置いたバンドだ。ワードルナの音楽には鳥の鳴き声や川のせせらぎ、風の音などさまざまな環境音が挿入されている。多くのバンドは録音したものや、既存の素材を後から挿入するが、ワードルナは少し異なる。川や森の中に入って環境音ごと楽器の音を録音するという方式を採用しているのだ。他のバンドにないサラウンド環境音は、聴いているだけで自然の息吹を感じられる魅力的なサウンドを生み出している。

ダークアンビエントともカテゴライズされるワードルナの音楽性は夜の森のような不気味さとさみしさを持つ。徹底されたサウンドへの拘りが魅せる唯一無二の世界観を是非、感じてほしい。

ペイガンフォークは、フォークロアの中にあるジャンルの一つであり、他ジャンルの音楽の要素を多く含んだ自由度の高いジャンルだ。人によってフォークかペイガンか、という線引きもすらも異なってくる。上記のバンドが気に入っていただけたら、いろいろなバンドを聴いてみると面白いかもしれない。私と一緒にいろいろな自然っぽい音楽を聴きまくり、自分だけのペイガンフォークらしさを見つけていこう。

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