【Otyken】今、一番勢いのあるペイガンフォークを紹介したいと思う
ペイガンフォークの中でも、最近特に注目を集めるガールズバンドを紹介したい。Otykenはシベリア発のペイガンフォークバンドだ。日本でもオシャレなガールズバンドは多くデビューしているが、Otykenのメンバーは過酷なシベリアの冬を乗り越えてきたかのような精悍な顔つきのメンバーばかりなのが印象的。
このビジュアルが気に入った方は、ぜひともサウンドも聴いてみてほしい。ガチガチのペイガンフォークだ。それなのに、聴きやすい音楽にカテゴライズされる。パッと聴くとめちゃくちゃ民族音楽なのに、トータルで聴くとどこか聴き馴染みがあるのだ。要因としてはポップスの要素を取り入れたフランクなリズム感にあると思われる。
テクノやトランスのようなシンセサイザーの音色とガチガチのペイガンサウンド。この2つが融合して生まれる先進的な民族音楽はペイガニズムとは少し外れるかもしれないが、ユニークな効果をもたらしていることは間違いない。他者との交わりを拒絶というペイガニズムの根幹を否定しつつも、過剰なくらいの民族楽器の音色で否定ではなくリスペクトであると訴えかけてくる。
マウスハープやコムズやトゥパなどのアジアの山岳地帯の伝統楽器とトランスのシナジーを考えた人は怪物とすら私は感じた。異なる地方や歴史の楽器を組み合わせる試みはよく見かけるが、大抵はコンセプトとなる音楽性に寄せて解決している。たとえば、ポップスに音楽性を寄せることで大衆化させるが、このバンドはあくまで民族音楽を貫く。なのに、上手い事融合して新しい音楽を生み出しているのだ。
これだけ自然だと、シベリアの民族音楽の中にトランスやテクノの要素が含まれるのでは?という疑問を感じるかもしれない。実のところ、民族音楽とトランスの楽曲内の構成自体は似ている。トランスは4回メロディを繰り返し、4回目で少し展開して次のメロディに繋げるという手法を取るバンドが多い。同様に民族音楽も4回同じメロディを繰り返す手法が採用されるバンドが多く見られる。
Otykenは中央アジア、東ヨーロッパの文化を取り入れつつ近代の香りをさせる魅力的なバンドだ。ペイガニズムの体現したようなビジュアルに目を引くが、彼女らのInstagramを覗く可愛い一面がみられる。
閉鎖的という意味も含まれるペイガニズムの持つ魅力は、発展性の薄さとも捉えられるだろう。だが、それを見事に打開してより昇華させたバンドだ。彼女らは下火になってきているペイガンフォークの中で、独走状態ともいえる話題性を持っている。興味のある方は、ぜひ一度聴いてみてほしい。
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