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レース分析について

「ピッチ上げて!」とか「もっとおおきく泳ご!」とか。よくプールサイドで、コーチが口にするこの言葉。しかし、選手はそのアドバイスを聞きながら、こう思うのだ。

どのくらい???

こんにちは。今回のテーマは、レース分析である。選手からの「どのくらい?」という質問に答えるには、レース分析を理解している必要がある。では順を追って説明していく。

①レース分析とは?

レースにおける、スタート、ターンなどの所要時間、ストローク局面における泳速度、ストロークタイム、ストローク長のデータ

つまり、ピッチやストロークを数値で評価する分析のことである。
日本水泳連盟では、全国規模の大会(日本選手権、インターハイなど)レースを対象にレース分析を行っている。パラ水泳でも導入されておりトップ選手の多くが活用している。

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②レース分析の目的

目的は2つある。最大の目的は、
今後の課題設定(目標やトレーニング計画)である。レース結果から選手の長所を伸ばし、短所を克服することで速くなることに用いる。つまり、どのように泳ぎを改善すればよいかを見直し、具体的な目標タイムを定めるということである。

例えば、タイムを前半で1秒上げるためにストロークを50mで4回増やしてみるとする。そのストローク頻度を増加させると、後半ばてたりストローク長が極度に短くなったりしてしまう。しかし、それを防ぐために、筋トレ、スイム練習、ストレッチ、普段の生活などを、再計画するということに活用できるのである。

もう1つは、決勝レースへの活用である。つまり、即時フィードバックを行い、予選レースの分析結果から課題を明らかにし、決勝レースに活かすことができるのだ。予選レースがベストの時のターン、フィニッシュ、ピッチ、ストローク長と比べてどこが悪かったか良かったかを見極める。そして数時間後に、最高のイメージでレースに臨むことが目的である。

③レース分析の見かた

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まずは、全体のタイムの推移を把握する。このグラフだと、オレンジが予選レースで青が決勝レースである。タイム的には決勝が32.35予選が32.93と決勝では0.58速く泳ぐことができている。

では次に、決勝のどこの区間が予選で速くなったのかを見る。グラフが上に行くほど速くなっていることを示している。実際に決勝(青)は、15m~25m、45m~50mで右肩上がりである。つまり、その区間で予選より速く泳げているということである。


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そして次に、スタート(~15m)、ターン、フィニッシュ(ラスト5m)のタイムを確認する。少しの差であるがスタート、フィニッシュのどちらも決勝の方が速く泳げていることが分かる。


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そして最後に、ストローク頻度・ストローク長をチェックする。ストローク頻度は、1分間で何回腕を回すペースで泳いでいるかである。上のグラフを見ると、決勝(青)は予選(オレンジ)よりストローク頻度が高い。つまり、予選よりピッチを上げて泳いだということである。そしてストローク長を見ると、後半35~45mで決勝(青)では予選(オレンジ)より、大きな泳ぎで泳ぐことができているということだ。

結果的に、このレースではピッチを上げたがストローク長を落とさなかったことがタイム向上につながっている、といえる。特に後半はピッチを上げて、なおストローク長も長いことが良かった点であろう。


このようにレース分析を確認した後、練習の成果が出せているかと今後の目標について選手と再検討していくというのが、レース分析の活用である。

以上がレース分析でした。ぜひ有効的に活用して選手からの「どのくらい?」に具体的に答えていけるようにしましょう。


ーーーーーー編集長






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