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短距離専門のパラ選手が乳酸テストをしてみて分かったこと

前回に引き続き乳酸カーブテストについて。


では、実際に行った事例を紹介しよう!

100m×4 12分サークル
1本目→70%
2本目→80%
3本目→90%
4本目→100%

100mを4本、1本目から段階的にスピードを上げていくテストだ。 

ジュニア競泳選手の乳酸測定の研究を参考にやってみた。そこでは、100m×4本、10分サークルであったが、今回は大人数での合宿であったため、乳酸測定に余裕を持てるサークルに設定。


結論から言うと、この測定方法はパラ短距離選手の能力を測るのに有効である。


 詳しい数値は公表できないが、ざっくりとしたイメージを以下に示す。

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実際に、選手の実力をこの100×4本のカーブテストで測ることができた思う。強化前に比べ、強化期間に泳速度が速くなっても、乳酸がたまりにくくなったことが分かる。


しかし、このテストは

・測定を高地で行った
・視覚障害の選手もいてターゲットタイムを狙うことが難しかった

ことも影響する。

 高地では体が順応するまで、負荷が平地に比べてかかる。そして、視覚障害ゆえにタイムと体の感覚が一致しにくく、うまく指定された強度で泳ぐことは難しいのかもしれない。

なので、このテストが使えるかは事例を重ねていくべきであろう。それらを考慮して、今後はテストを作り替える必要を感じた。


健常選手でなおかつ平地で行った場合は、こんなデータは出ない可能性が十分にある。


そして、今回パラ選手の乳酸測定を行って分かったことは、

・乳酸値がたまりやすい選手がいる。

ということだ。

 100m×4本の乳酸測定は論文を参考にしたのだが、パラ選手にとっては100m以上の負荷がかかっているかもしれない。四肢欠損の選手にとっては、100mの距離は健常の選手よりも長いし、しんどいと体感するだろう。100mを4本行くのもかなりハードだ。視覚障害の選手は、楽に泳ごうとした結果、フォームが整わずしんどい泳ぎ方になってしまい乳酸値が上がってしまうという意見も出ている。

なので、指定強度は選手の障害に合わせて設定すべきなのかもしれない。さらに言うと、個人に合わせてテストを作っていく必要があるのかもしれない。

 今まで、200×5本や100×8本といったテストは健常の選手で行われているみたい。これらも踏まえて、今後も選手それぞれに適したテストを模索していきたい。

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編集長

参考文献
🔴ジュニア競泳選手の4スピードテスト、酒井達郎・磯茂雄


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