なぜこんなに10代パラスイマーが育つのか?
ボンボン海外からは、若い有望選手が出てくる。特にオーストラリアは、2000年シドニーパラリンピックから20年経った今も、継続的に若い選手が育っている。
一方日本では、10代で実力が突出している選手は少ない。昨年世界選手権では、10代選手が1人もいなかった。つまり、若い選手の育成は、日本の課題となっている。
どのように若い選手たちを育てていくか?
このヒントを何とか見つけ出していきたい。ということで、オーストラリアの現状から、課題の解決につなげるためにできることを見出していこうと思う。
オーストラリアの10代選手
まずは、オーストラリアの10代選手を見ていくことにした。
昨年2019年世界選手権に選ばれた10代選手はなんと14人もいる。
つまり、世界TOP8に入る実力のある選手が14人いるということだ。
その中でも、私が注目した選手3名を紹介したい。
1.Col Pearse
現在17歳で、世界選手権で銅メダルを獲得したこともある勢いのある選手。
バタフライを得意とし、安定したピッチとレース後半の力強さが彼の持ち味だろう。そこから、体力と精神力の強さがうかがえる。
池?で練習している様子もあり、練習に対しての取り組み方もかなりストイックなのかもしれない。
2.Timothy Hodge
右ひざから下が欠損している障害のある選手。50M背泳ぎで世界記録29.70を持っている。2015年の世界選手権からオーストラリア代表として戦っている。
この選手はオールラウンダーで、背泳ぎ以外にも他の種目を器用に泳ぎこなす。特に200M個人メドレーでは、誰もついていけないほど前半の速さがある。
課題は後半だろうが、現在19歳。体力強化によって、今後もますます活躍すること間違いなしだろう。
ちなみに水泳以外にも過去には陸上にも取り組んでいたらしい。幅広くスポーツ活動で能力が発揮できるセンスが、メダル獲得にも貢献しているのかも。
3.Tiffany Thomas Kane
なんと13歳で世界選手権に出場し、当時の世界記録を塗り替え優勝している。現在は19歳で、今なおオーストラリアで実力派の選手の一人だ。
クラス分けにより、クラスが上がったこともあった。そのため、一時期メダルから遠のいた時期もあり苦戦していたが、その壁を乗り越え、再び第一線で戦っている。
得意種目は平泳ぎで、キック後の体重移動が非常に素晴らしい。両手を伸ばしている時のなめらかさから、キックのセンスを感じる。
また、飛び込みも洗練されていて、長く世界のトップで戦ってこれている理由がここからも感じ取れる。
どのように10代選手を育てるか?
オーストラリアの10代選手を3人ピックアップしてみた。すると、1つの共通点が見えてきた。
複数種目で世界と戦える実力を兼ね備えている
これが、彼らの特徴であろう。
Col Pearse選手は、バタフライと個人メドレー。
Timothy Hodge選手は、背泳ぎと個人メドレー。
Tiffany Thomas Kane選手は、平泳ぎとバタフライ。
複数種目で、世界大会で決勝に行ける実力を兼ね備えている。
今回は、選手に関するデータ不足なため、複数種目でメダルを獲得できるように育成されたのかは分からない。もしかしたら、1つの種目が突出して速い選手は、他の種目も決勝に出る程度であれば泳げてしまうのかもしれない。
しかし、日本の選手にも複数の種目で、世界と戦える実力が求められていることは間違いない。
幼い頃から種目を絞って練習するのではなく、幅広く、バタフライ・背泳ぎ・平泳ぎ・クロールを泳ぎこなせる練習量とバラエティに富んだ練習メニューの提供が必要だろう。
実際に、世界どの国を見ても、複数でメダルを獲得する選手を強化することが主流となっている。その方が、国全体のメダル獲得数を上げることにつがるからだ。
日本も同じ流れを辿らざるを得ないのかもしれない。
ますます、若くして将来を期待される選手には強化費が割り当てられ、10代で成長できない選手には一切費用が当てられないようになりそうだ。
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編集長
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